Bunkamuraではこの春、「ブンカチャージ2022」と題し、心の栄養となる様々な文化芸術体験をお届けいたします。この期間に合わせて、Bunkamuraドゥマゴ文学賞では、読書をより身近に、より深くお楽しみいただけるよう、書店員さんがおすすめする書籍をご紹介してまいります。
選書テーマは「新たなトビラがみつかる本」。新しいことに挑戦したくなる春にこそ読みたい、未知なる世界に誘う作品が登場します。本を選ぶのは、WEB連載「私のBunkamuraドゥマゴ文学賞」にご参加いただいた書店の方々。日頃から多くの文学作品に触れる書店員さんの、それぞれの想いをのせた推薦文とともに書籍をご紹介します。
今年の春は、新たなトビラを開く読書を体験してみませんか?
<No.8>
『そらからおちてきてん』
作/ジョン・クラッセン 訳/長谷川義史 クレヨンハウス
クレヨンハウス 鏡 鉄平
ちょっぴりガンコなカメ。 おしゃべりなアルマジロ。むくちなヘビ。
絵本の中であまり活躍の場を与えられることがなかった三者が
繰り広げる絶妙な距離感が、なんとも刺激的な1冊。
今もってある、絵本とは「こういうもの」という概念を見事に飛び超えた個性的で飄然としたキャラクター。
ニヤリのあとにヒヤリとしたのは、空から突然落ちてきた大きな岩。
ガランとした殺風景な大地にポツンとある大きな岩に座り目をとじて、アルマジロは未来を想像する。
草木が芽吹き、豊かな森が広がって……。しかしそこにやってきたのはオソロシイ生きもの(?)。
ジョン・クラッセンさんが描く「目で語る」キャラクターたちを、関西弁で訳しているのは絵本作家の長谷川義史さん。
「ただもんじゃない」おふたりがコンビを組んだ作品に共通しているのは、絵本の奥行を深め、おもしろさの枠を拡げた
ラジカルにしてシックな感触。
ちょっとコワくて、読めば読むほどに惹かれる、奇妙な味の世界観が魅力の一冊です。
<推薦いただいた書店>
1976年の創業当時から、座り読み大歓迎のテーブルのある子どもの本の専門店。子どもだけではなく、かつて子どもだったすべての人のために、ロングセラーを中心に、絵本や読みもの、洋書など約5万冊を揃える。地下には、オーガニックレストランや野菜市場、2F木のおもちゃの専門店、3Fオーガニックなライフスタイルを提案するミズ・クレヨンハウスなど、各フロアに展開している。
https://www.crayonhouse.co.jp/shop/default.aspx (外部サイトにリンクします)