11月6日(木)、ドゥマゴパリにて、第24回Bunkamuraドゥマゴ文学賞授賞式が開催されました。今回の選考委員を務める伊藤比呂美氏により選ばれたのは、『ナツェラットの男』(2013年7月刊・ぷねうま社)。著者、山浦玄嗣氏の長年にわたる聖書への思いが結実した小説で、これまでとはまったく異なる新しいイエス像を生き生きと描き出しています。
贈呈式に先立ち、Bunkamura内の特設会場では、伊藤・山浦両氏による記念対談が行われました。伊藤氏は「こんなにださい小説はない」と独特の表現で選評。ギリシア語での本来の「信仰」「愛」の意味の解説から、聖書中でのエピソードは実際はこうだったのはないか、といった話まで話題が広がっていました。
贈呈式では、山浦氏に正賞の賞状、ゼニス社製時計、副賞の目録のほか、ポメリーブリュットロワイヤルのマグナムボトルが贈られました。またパリ・ドゥマゴからの使者として3名のウェイターが登場し、お祝いのメッセージを披露しました。
伊藤氏は「選考委員を務めたこの一年、小説や詩や評論など素晴らしい作品にたくさん出会うことができました。その中でも最後まで心に残っていたのがこの『ナツェラットの男』です」とあいさつ。
山浦氏は「これはいわゆる宗教書ではありません。のちにキリストと呼ばれることになった、愉快で、魅力的で、楽しい男の、荒々しいほど朗らかな息吹が書かせた物語です。思いもよらないこのような賞まで頂戴して、とても幸せです。」と感謝の言葉を述べました。
授賞式と、受賞記念対談内での山浦氏による『ナツェラットの男』の朗読の映像をアップしましたので、こちらもあわせてお楽しみください。
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(C)大久保惠造