Bunkamuraドゥマゴ文学賞 パリのドゥマゴ賞 Le Prix des Deux Magots Paris
- 受賞作品
- 受賞作品一覧
Le Prix des Deux Magots 2015

【受賞者】
Serge Joncour(セルジュ・ジョンクール)
【受賞作品】
『L’ecrivain national(国民的小説家)』
【出版社】
Flammarion(フラマリオン)
フランス中央部のとある小さな町に執筆のためにやってきた小説家セルジュは、到着したその日に、地元でも評判の資産家である年老いた元野菜農園主コモドールが、いっさいの手がかりを残さぬまま行方不明になっていることを地元紙の記事で知る。コモドール殺しの疑いをかけられているのは、この田舎町に数年前に越してきたふたりの男女、オレリックとドラだった。しかし、その三面記事でなによりもセルジュをとりこにしたのはドラの写真だ。
市長が揶揄をこめて「国民的小説家」と呼ぶセルジュに対する住民の疑惑のまなざしが日々深まるなか、セルジュは独自の捜査、すなわち人々から秘密を聞き出し、物語を構成する小説家ならではの方法で、自分を惹きつけてやまないドラに近づこうと試みる。セルジュ・ジョンクールの緊張感ある筆致は、映画作家クロード・シャブロルを思わせる空気をたたえている。平穏に執筆に専念するはずだった数週間の滞在は、ゆっくりと、しかし確実に、深い現代の恐怖へと変化する。
Serge Joncour
セルジュ・ジョンクールの著作は、映画化された『ある朝突然、スーパースター』のほか、『U.V.』『何度君を愛しただろう』『ノーと言えなかった男』『愛さない愛』等10作に及び世界15か国語に翻訳されている。