
©2018 tempesta srl · Amka Films Productions· Ad Vitam Production · KNM · Pola Pandora RSI · Radiotelevisione svizzera· Arte France Cinéma · ZDF/ARTE
驚きと発見。世界が瞠目した新しい才能。
『幸福なラザロ』は、前作『夏をゆく人々』で鮮烈な印象を残し、世界が注目した才能アリーチェ・ロルヴァルケル待望の監督最新作である。2018年カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『万引き家族』とともにコンペティション部門で話題をさらい、見事脚本賞を受賞。北米公開時には、マーティン・スコセッシが絶賛し、映画完成後にプロデューサーに名乗りを上げるという異例のバックアップをするなど、観た人を感動の渦に巻き込んでいる。
実際に起きた詐欺事件から着想された寓話的ミステリー。ラザロの無垢なる魂がもたらす圧倒的な幸福感に満たされる──。
時は20世紀後半。イタリアの小さな村で純朴なラザロと村人たちは、小作制度の廃止を隠蔽する侯爵夫人に騙され、社会と隔絶した生活を強いられていた。ところが夫人の息子タンクレディが起こした誘拐騒ぎをきっかけに村人たちは初めて外の世界へ出て行くことになる。だが、ラザロにある事件が起き…。
フェリーニ、ヴィスコンティ、パゾリーニ、イタリア映画史に燦然と輝く巨匠たちの遺伝子を受け継ぐロルヴァルケル監督は、本作で時空を超えた壮大なドラマを生み出し、新しい地平を切り開いた。
『幸福なラザロ』は、1980年代初頭にイタリアで実際にあった詐欺事件を知った監督の驚きから生まれた。人間が享受してきた文明はそのスピードを加速させ、人間を疲弊させ、世界を荒廃させた。富める者はさらに富み、持たざる者はさらに失う現代に、世界をありのままに見つめるラザロの汚れなき瞳はあまりにも衝撃的だ。その無垢なる魂は、観る者を浄化しかつて味わったことのない幸福感を与えてくれるだろう。そして思いもよらぬ展開を経て迎えるクライマックスは、私たちが忘れがたき至福の映画体験をもたらすはずだ。