Bunkamuraではこの春、「ブンカチャージ2022」と題し、心の栄養となる様々な文化芸術体験をお届けいたします。この期間に合わせて、Bunkamuraドゥマゴ文学賞では、読書をより身近に、より深くお楽しみいただけるよう、書店員さんがおすすめする書籍をご紹介してまいります。
選書テーマは「新たなトビラがみつかる本」。新しいことに挑戦したくなる春にこそ読みたい、未知なる世界に誘う作品が登場します。本を選ぶのは、WEB連載「私のBunkamuraドゥマゴ文学賞」にご参加いただいた書店の方々。日頃から多くの文学作品に触れる書店員さんの、それぞれの想いをのせた推薦文とともに書籍をご紹介します。
今年の春は、新たなトビラを開く読書を体験してみませんか?
<No.6>
『あのころはフリードリヒがいた』
作/ハンス・ペーター・リヒター 訳/上田真而子 岩波書店
青山 山陽堂書店 林 美和子
ふぁちゅあねーむ?
7歳の私が唯一知っていた英語で金髪の少女がキャッシーという
名前だと知った。
数件先に越してきたキャッシー。言葉などわからなかったがなんだか
楽しく遊んだ記憶がある。
主人公の少年もフリードリヒと遊ぶのがただうれしくて楽しくて。
大好きな友達がユダヤ人であることで、これから彼の身に起こる出来事を
想像できたであろうか。
友だち、家族、人種、文化、政治、数え切れないほどの扉がこの本の中に
用意されている。
開けずに済ますことのできない扉が。
<推薦いただいた書店>
青山表参道の地で明治24年(1891年)に創業。今年129周年を迎えます。初代 孫次郎の時から家族経営を続け、現在3・4・5世代目が店に立っています。1階は書籍・雑誌・オリジナルグッズの販売、2階ギャラリーでは原画展・トークイベント・落語会などを開催、3階は不定休で喫茶営業をしています。青山ゆかりの方々や展示に合わせた本も取り揃えています。谷内六郎さんの壁画が目印。
http://sanyodo-shoten.co.jp/ (外部サイトにリンクします)