2025.03.24 UP
文化と暮らしと渋アート。―春と楽しむ渋アート巡り―<恵比寿・広尾エリア編>
空気が冷たい季節が終わり、いよいよ春本番。花や草木を愛でながら春の訪れを寿ぐ「お花見」は平安時代から続く日本の伝統文化の1つですが、最近では街を歩きながらお花見を楽しむ方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の『文化と暮らしと渋アート。』では、渋アート連携施設やその周辺の「春を感じるスポット」を、それぞれの文化施設で働く学芸員やスタッフの皆さんにアンケート調査。おすすめのスポットをご紹介いただきました。
エリアごとに、施設の中で見られる春スポットから少し足を延ばした近隣の桜まで、様々な「春を感じるスポット」をご紹介。展覧会や公演とともに、ぜひ春を楽しんでください。
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<恵比寿・広尾エリア>
◆山種美術館
山種美術館の約1,800点のコレクションの中で、度々展覧会ポスターを飾っている作品の1つが、奥村土牛《醍醐》。堂々とした幹に淡く可憐な花をいっぱいに咲かせる桜を描いた名画です。この桜は、豊臣秀吉が「醍醐の花見」を催したことで知られる京都・醍醐寺の「太閤しだれ桜」がモデルになっています。
その「太閤しだれ桜」を組織培養した「太閤千代しだれ」が2021年11月、山種美術館の玄関の脇に植えられました。まだ若木のため華奢で花芽が少ないながら、可憐な花を咲かせるのが特徴です。
山種美術館玄関脇にある太閤千代しだれ。2023年開花時の様子。(画像提供:山種美術館)
「いずれ多くの花を咲かせてくれるのを楽しみに成長を見守っています。」
(山種美術館・職員Nさん)
現在開催中の展覧会『桜 さくら SAKURA 2025 ―美術館でお花見!―』でも、奥村土牛《醍醐》がポスターを飾っており、今年もこの若い桜が花を咲かせれば、二つの桜を同時に楽しむことができます。桜の成長を職員の皆さんとともに見守りたいですね。
そして、山種美術館と言えば展覧会ごとに『Cafe 椿』で楽しめる和菓子にも注目。毎回展示作品をモチーフにしたかわいらしい和菓子が並びますが、今回は「お花見」ということですべて「桜」がモチーフになっています。
左から、ひとひら、花よりほかに、初いかだ、夜桜、千本桜(画像提供:山種美術館)
「桜や、桜のある景色をかたどった「春」を感じられる和菓子と抹茶のほか、期間限定の桜緑茶をお楽しみいただけます。ガラス窓越しに春の暖かい陽気を感じながら、美味しい和菓子とお茶を味わえる癒やしのひと時が過ごせます。」
(山種美術館・職員Nさん)
春をたっぷり感じられる和菓子とともに、美術鑑賞の余韻にひたってみてはいかがでしょうか。
開催中>『桜 さくら SAKURA 2025 ―美術館でお花見!―』 5月11日(日)まで
\館内の大理石にも注目/
渋アートと巡る—山種美術館
◆國學院大學博物館
卒業式や入学式など、春の学校行事の思い出に登場することが多い「桜」。國學院大學博物館がある國學院大學渋谷キャンパスは、まさに都市型キャンパスという立地にありながら植栽が充実していて、いつも緑が目に入る印象がありますが、意外にもほとんど見かけないのが「桜」だそう。そんな数少ない桜が、國學院大學博物館の正面入り口にあります。
ある年の入学式の日、見ごろを迎えた桜がハレの日を彩りました。(画像提供:國學院大學博物館)
「卒業式や入学式のどちらかに合わせて毎年咲いてくれています。近くに他に桜が少ないため映えスポットとして、博物館の外観とあわせて皆さん写真を撮ってくれています。」
(國學院大學博物館・学芸員Sさん)
学生さんたちがよく通る博物館の前にあり、学生生活をずっと見守っている桜の木。今年も、学生生活の思い出に寄り添う花を咲かせてくれることでしょう。
開催中>企画展『江戸の本屋さん—板元と庶民文学の隆盛―』 4月20日(日)まで
次回展>企画展『江戸・東京の祝祭とおしゃれ—飾る都市と人―』 4月26日(土)から6月22日(日)まで
\常設展も盛りだくさん!/
渋アートと巡る—國學院大學博物館
◆実践女子大学香雪記念資料館
山種美術館、國學院大學博物館からもほど近い、実践女子大学渋谷キャンパス内にある香雪記念資料館はまさに都心型といった雰囲気のビルの中にありますが、正面入口がある六本木通りから1本入ると昔ながらの家々が軒を連ねる閑静な住宅街が広がる地域でもあります。その中に静かにたたずむのが、渋谷氷川神社。渋アート特集『文化が薫るまち歩き -山種美術館編-〈恵比寿・広尾エリア〉』でも以前ご紹介した、渋谷で最も古いとされる神社です。
この地域の桜の名所といえば渋谷金王八幡宮の金王桜が有名ですが、この渋谷氷川神社にも美しい花を咲かせる桜の木があります。
渋谷氷川神社の境内の桜。取材した3月中旬はすっかり春の日差しでしたが、つぼみはまだ固く結ばれていました。
「学生時代に香雪記念資料館で桜が描かれた掛軸を鑑賞し、そのあと他の美術館に向かう道すがら氷川神社に立ち寄り、桜を眺めて楽しみました。」
(実践女子大学香雪記念資料館・職員Yさん)
桜の季節には数量限定の桜の御朱印もいただけるそう。流行の発信地・渋谷で最も古い神社とされる渋谷氷川神社で、桜を眺めてほっとひと息つくのもよさそうです。
次回展>『第24回 学祖・下田歌子展―愛国婦人会と夜間女学校―』 4月1日(火)から4月25日(金)まで
*同時開催の下田歌子記念室『特集展示 下田歌子のあゆみと芸術へのまなざしⅠ』では、瀧和芳筆《枝垂桜に鳩図》を展示します。また、館入口には4月11日(金)までフォトスポットをご用意しています。
\知られざる近現代の女性作家たちと出会うなら/
渋アートと巡る—実践女子大学香雪記念資料館
・ ・ ・ 渋アートさんぽ ・ ・ ・
山種美術館の職員さんと國學院大學博物館の学芸員さんからご紹介いただいたのが「明治通りの桜並木」。渋谷氷川神社と同じく『文化が薫るまち歩き -山種美術館編-〈恵比寿・広尾エリア〉』でご紹介した都心ならではの桜の名所です。
「毎年、桜並木は圧巻で、美術館までの道のりがより一層楽しくなります。お天気の良い日は、ぜひ歩きながらお花見を楽しんでいただきたいと思います。」
(山種美術館・職員Nさん)
「一番春を感じるのは、早めに咲く明治通りの桜です。今回のテーマにはピッタリだと思います。」
(國學院大學博物館・学芸員Sさん)
ご紹介した3施設から明治通りまではそれぞれ徒歩10分程。鑑賞の前後に桜並木を歩いてみてはいかがでしょうか。
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\恵比寿・広尾エリアはほかにも見どころがたくさんあります/
文化が薫るまち歩き -山種美術館編-〈恵比寿・広尾エリア〉
文化と暮らしと渋アート。―春と楽しむ渋アート巡り―
<松濤・神泉エリア編>はこちら
<渋谷&原宿&上野毛エリア編>はこちら
*渋アートからのお願い*
今回ご紹介した春を楽しむスポットを巡る際には、交通および写真・動画撮影のルールとマナーを守っていただくとともに、周囲の方へのご配慮をお願いいたします。これからも、皆さまと一緒におすすめスポットを楽しむため、ご協力をお願いいたします。