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N響オーチャード定期 2011-2012シリーズ
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N響オーチャード定期 2014-2015シリーズ

休日のマチネにゆったりと名曲を楽しむ N響オーチャード定期2014-2015シリーズ

2014/11/9(日)、2015/1/31(土)、3/14(土)、4/29(水・祝)、7/4(土) <全5回>

Bunkamuraオーチャードホール

2015年7月4日(土)15:30開演

指揮者インタビュー/ジョシュア・ワイラースタイン | INTERVIEW

素晴らしくカラフルなプログラム!
既成の枠組みにとらわれず創意工夫した四人の作曲家が
インスピレーションを与えてくれる。

7月4日のN響オーチャード定期を指揮するジョシュア・ワイラースタイン氏がメール・インタビューに応えてくれた。

音楽一家に生まれ、もともとヴァイオリンを学んだと聞きましたが、指揮者を志したきっかけは何ですか?

「とても刺激的な指揮者ルドヴィック・モルローとともに活動をしていた頃、私はニューイングランド音楽院のヴァイオリン科の学生でした。彼が私の指揮への興味を引き起こしたのですが、決定的な瞬間となったのは、初めて(残念なことにビデオだったのですが)カルロス・クライバーの指揮を見たときでした。私は、クライバーがやっていたようなことを一人の指揮者ができるのだとは知らなかったので、魅了されたのです。クライバーを見たことで、私は指揮者になりたいと確信しました」

著名なヴァイオリニストであるお父様(クリーヴランド弦楽四重奏団創設者のドナルド・ワイラースタイン)から受けた最も強い影響とは何ですか?

「父から受けた最も強い影響は、スコアへの強い忠誠心、そして、音楽的にも技術的にもすべての判断はスコアと作曲者の意図に基づかなければならないということだと思います」

ニューヨーク・フィルの副指揮者を務められ、昨年日本でも指揮されましたが、日本でのコンサートはいかがでしたか?

「サントリーホールでのコンサートはとても気に入りました! アメリカではなかなかそうはいかないほど、聴衆のみなさんが集中して聴いてくださいました。子供向けのコンサートだったので、演奏会後、私はたくさんの子供にも会い、彼らが耳にしたものへの子供たちの本当の興奮は、とても私の励みになり、刺激になりました!」

ニューヨーク・フィルで過ごされた3年間での最も印象に残っていることは何ですか?

「セミョン・ビシュコフが指揮したショスタコーヴィチの交響曲第11番の演奏会は、息ができないほどすごくて、何日間もぼーっとしてしまいました。それから、アラン・ギルバートの指揮するマーラーの交響曲第9番の演奏は、とても深みがあり感動的でした」

今回の選曲の意図を教えていただけますか?
ドイツ、フィンランド、ハンガリー、ロシアといろいろな国の音楽が選ばれていますね。 また、《真夏の夜の夢》と《ロメオとジュリエット》はシェイクスピアの戯曲に基づいています。

「明らかに、このプログラムでの第1番目の強力なつながりはシェイクスピアに基づく2つの作品にありますが、それだけでなく、コダーイの作品とシベリウスの作品もみなさんが考えている以上に共通点があるのです。シベリウスのヴァイオリン協奏曲はフィンランドの民族音楽に深く影響を受けています。そしてフィンランド語とハンガリー語は実際、共通点が多いのです。ある意味、シェイクスピアの時代に目を向けてインスピレーションを求めた伝統主義者たちの作品と、もっと古くからのその国々の民族音楽に目を向けた2人の作曲家たちの作品を聴くことになります。素晴らしくカラフルなプログラムですから、きっと聴衆のみなさんには楽しんでいただけると思います」

コダーイのガランタ舞曲の聴きどころとは?

「私はみなさんにコダーイが到達することのできた色彩とキャラクターの多様性を楽しんでいただきたいと思っています。わずか15分の曲ですが、コダーイは1ダースほどの舞曲と主題を発展させ、そのどれもが際立っています。彼はクラリネットに美しいソロを吹かせますが、それを聴きのがすことはできません!」

チャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」の最大の魅力とは?

「『ロメオとジュリエット』はほとんど誰もが知っている戯曲です。チャイコフスキーの音楽は何度も映画に、テレビ番組に、CMにさえ、使われてきたので、ありふれたもののように感じる危険性がありますが、チャイコフスキーの音楽はとても情熱的でまったく飽きることがありません。有名な"愛の主題"が有名なのは理由がありますが、実際、私が最も好きな箇所は、ジュリエットがやさしく鼓動も聞こえないようなヴァイオリンに紹介されるシーンでのこの作品で最もやわらかい瞬間です。そこは、このドラマでいっぱいの作品のなかでも特に感動的なところです」

オーガスティン・ハーデリッヒさんとは共演されたことがありますか?

「オーガスティンとは共演したことはないのですが、友人として彼をよく知っていて、私は彼の演奏が大好きなのです。オーガスティンの演奏は優雅さと洗練と情熱が完璧な形で結びついているように私の耳には聴こえます。私はずっとオーガスティンと共演したいと望んできましたので、今回のコンサートは我々の共演の始まりには最高の舞台になるでしょう」

NHK交響楽団には、どんな印象をお持ちですか? 今年の2月に姉のアリサさん(チェリストのアリサ・ワイラースタイン)がN響にデビューされましたが、N響について何か聞かれましたか?

「N響については、素晴らしいオーケストラだという評判のほかに、たくさん知っているわけではありません。私の姉も本当にN響との演奏を楽しみ、私に『素晴らしい時間が過ごせるよ』と言ってくれました」

得意のレパートリーは? 好きな作曲家は? 影響を受けた指揮者は?

「すべて好きなんですと言うのはバカげた答えだと分かっていますが、それがまさに真実なのです。今、特に好きな作曲家をあげるとすると、ショスタコーヴィチ、モーツァルト、メンデルスゾーンがトップクラスに来るに違いありません。指揮者で最も大きな影響を受けたのは、カルロス・クライバーとレナード・バーンスタインです」

どんな指揮者になりたいですか?

「オーケストラに押し付けたりするのではなく、彼らとともに作り上げていくタイプの指揮者でいたいです。私は自分が指揮する作品についてはとても強いアイデアを持っていますが、音楽が最も素晴らしく響き、コミュニケーションが最もよくできるのは、すべての人が包み込まれ、すべての人がその音楽を自分のものだと感じているときなのだと私は思います。それが私がリハーサルのときや指揮しているときに心掛けていることなのです」

このコンサートの聴衆にメッセージをお願いします。

「みなさんがこのとてもカラフルなプログラムを楽しんでくださることと思います。この4つの作品には創造と革新があり、それは本当に素晴らしく、彼らの時代においては前例のないものでした。既成の枠組みにとらわれずに創意工夫をした4人の作曲家がいて、彼らの音楽は何世代もの聴衆にインスピレーションを与えてきました。それらがみなさんにもインスピレーションを与えてくれることを希望します。」

(インタビュアー・山田治生)

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