©Ayumu Gombi
2017年10月に世界初演を果たした熊川哲也 演出・振付による完全オリジナルのグランド・バレエ『クレオパトラ』―クラシック・バレエの表現を驚くべき創意で押し広げる熊川ならではの振付の手法はこの挑戦的な大作においてさらなる到達点をみせ、「バレエを超えた傑作」と称されるなどステージ界に広く衝撃を与えた。
タイトルロールは、前回の公演でも圧巻のパフォーマンスを披露した中村祥子と浅川紫織が演じる。繊細さと大胆さを併せ持ち、圧倒的な迫力を見せた中村と、女性的な側面をより色濃く感じさせた浅川によるクレオパトラは必見!
そんな折、共和制のローマで三頭政治を形成していたカエサルとポンペイウスの間に戦争が起こる。カエサルに敗れてエジプトに逃げ込んできたポンペイウスをクレオパトラは介抱する。男たちの心を虜にしてやまない彼女の美しさにポンペイウスもまた魅了される。だが、弟一派はポンペイウスを暗殺。そして自分をも殺害しようとする弟たちからクレオパトラは逃れる。
王位を奪われたクレオパトラだが、自らの魔性の美貌が男たちの心を捕らえるだけでなく、政治の武器とさえなることを、彼女は誰よりも知っていた。ポンペイウスを追ってアレクサンドリアにやって来たカエサルに、クレオパトラは王位奪還の協力を得るため直訴しようと画策する。弟たちに悟られずカエサルに会うため、クレオパトラはその身を絨毯にくるみ、貢物を献上するという口実で彼の前に姿を現す。聡明で美しく、目的のためには危険も厭わないクレオパトラに、カエサルは瞬く間に心奪われる。クレオパトラは王位を再び手中に収め、カエサルへの反撃に出た弟プトレマイオスは命を落とす。
カエサルがローマの最高権力者となり、彼との間に子をもうけたクレオパトラは、エジプトのファラオとしてのみならず、我が子がやがてローマを治める野望をも抱き、まさに絶頂期を迎える。だが、幸せは長くは続かなかった。腹心ブルータスらによるカエサルの暗殺、カエサル亡き後のローマで実権を握ることとなったアントニウスとの恋、我こそはカエサルの正統後継者であると主張するオクタヴィアヌスとの決戦…。
そして激動の人生を生き抜いたクレオパトラに、最期の時が訪れる――。