今年で画業50周年を迎える英国出身のグラハム・クラークは、ここ日本でも多くのファンに愛されている人気版画家です。
彼の故郷であるオックスフォードはイギリス南東部に位置し、テムズ川とチャーウェル川の合流地点にあります。西部にはイギリス人にとって憧れの「英国で最も美しい村」と呼ばれるコッツウォルズがあり、タイムスリップしたような時間が流れています。そんな場所に生まれ育ったグラハムは、深い愛情と鋭い観察眼を持って、田園風景や郊外の町に暮らす人々の暮らしぶりを茶目っ気たっぷりに描きます。
彼のアトリエには、今となっては存在自体が博物館級の年代ものの刷り機があり、昔ながらの伝統的な製法で作品一枚一枚を丁寧に生み出しています。銅版画として刷り終えたら手彩を施していくため、彼の作品はどれもこの世にひとつの存在となります。
画業50周年という記念すべき本展では、待望の新作やBunkamura初出作品をはじめ、輝かしいキャリアを彩った代表作品まで約50点が揃います。自身が徹底して在野の画家として生きるゆえに、ささやかでありふれた日常にこそ愛おしい人間の姿があることをグラハム・クラークの作品は伝えてくれます。日々の暮らしに一服のユーモアを。皆様のお越しを心よりおまちしております。