
伊豫田 晃一
「ドクツルタケ」
薄暗い背景から浮かび上がる、奇妙な世界の数々。そこには人や風景に模した「何か」が確かに存在する。あるモノは不思議な空間でこちらをじっと覗き込み、あるモノは悲しみや苦しみと共存し彷徨っているかのよう。しかし、そのどれもに「生命の息吹」とも取れる強い存在意志が感じられる。
「奇なるもの」の絵画表現は、円山応挙や伊藤若冲、ボス、アルチンボルドなど古今東西、脈々と繋がっている表現者たちの描いてきたテーマである。
人間の深層心理や自然の中に潜む混沌とした不気味な恐怖感・不可解さはその国の土着した文化などの影響を受けつつ多様な表現が生まれた。
見たこともない光景、思いもよらない構図、体験したことのない表現に我々はその全てに圧倒され、惑わされ、魂の深淵を揺さぶられる。
今展では、そんな無意識の中に潜む記憶や懐かしい風景や人物など、人間の根源的な心の見えない部分を、幻想的に描いてきた国内作家たちにスポットを当て展開する。
常識や因襲に囚われず、自由でいて斬新な創造の数々は私たちにどのような感覚を思い起こさせるのであろうか。
既成概念への挑戦とも言える現代作家たちの奇妙な表現に是非期待していただきたい。
(出品予定作家)
浅野勝美、浅野信二、東逸子、池田俊彦、伊豫田晃一、大島哲以、勝国彰、門坂流、北川健次、合田佐和子、作田富幸、さちこ、謝敷ゆうり、多賀新、建石修志、Toru Nogawa、二階武宏、野中ユリ、箕輪千絵子、山田彩加