
「Monsavon」
1980年代 リトグラフ 102×71cm
寒さが徐々に和らぐと、近付く春の予感に心が躍る。そんな期待に胸弾む季節に、レイモン・サヴィニャックのポスターがより一層の喜びを運びます。
1907年、パリ15区のジャンヌ・アシェットに生まれたレイモン・サヴィニャック。料理上手なママは13区グラシエール通りで小さなレストランを経営していました。集まる常連のお客さんたちはとても陽気で、お店ではいつもみんなハッピー。小さな頃からそんな環境で過ごした彼は自然とご機嫌な人物に成長しました。
28歳まで独学でデザイン業界を歩み、その後『アリアンス・グラフィック』のカッサンドル(イヴ・サンローランのロゴ制作者)の誘いで、助手として働きはじめます。彼の指南のもとたくさんのポスターを描く中、41歳のとき、モンサヴォン社の牛乳石鹸のポスターが大ヒット。その日からパリの街は彼の陽気な作品であふれ、街行く人々の足を止め笑顔にし続けているのです。晩年には港街トゥルーヴィル・シュル・メールに移住し、この街のためにたくさんの作品を描きました。市立ヴィラ・モンテベロ美術館には現在、数百種類にもおよぶサヴィニャック作品が収蔵されています。また海岸の散歩道や街角のあちこちに作品が設置され、いまも変わらず人々にユーモアを届けています。
パリで生まれ幼少のころより、街中や劇場に貼られたポスターを観ながら陽気に育った生粋のパリジャン、レイモン・サヴィニャック。彼が生みだした、それまでフランスの広告には存在しなかった手法、それはポスターにユーモアを加えて陽気にすること。普段は気にとめていなかったものが、サヴィニャックのポスターで魔法にかかったように変身。幼い頃よりポスターの王国である街頭を好み、母親に連れられ劇場に足を運んだ彼ならではの表現方法だったのでしょう。
本展では、こうしてたくさんの人々を笑顔にしてきた当時のポスターを一堂に集め、貴重な原画作品とともに展覧販売いたします。脇を固めるのは、フランスの国民的漫画家でありイラストレーター、ジャン=ジャック・サンペ。現在も個展を開催し勢力的に活動、注目されています。更にベル・エポックの黄金期に活躍し、現在でも知られるメゾンやデザイナー達との交流もあった、風刺画家のセム。三人に共通するのは人々に愛され続けるユーモア。
セーヌ川に沿ってパリを散歩、足を延ばしてノルマンディーの海岸の町へ…。春らしい陽気の中、サヴィニャックの愛した町をめぐるように、楽しさあふれる会場へぜひお越しください。
◆ギャラリーツアー開催◆
サヴィニャックの世界的コレクター山下純弘氏をお迎えし、作品についてのお話はもちろん、彼のアイデアとユーモアの秘密に迫る貴重なお話を伺います。
【開催日】3/13(月)
【開催時間】14:00~(30分程度を予定)
【会場】Bunkamura Gallery
※事前予約不要
※上記の時間に直接Bunkamura Galleryへお越しください。