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アールデコからモダニズムへ──百年の時を超えて燦然と輝き続ける、アイリーン・グレイの創作の秘密
妥協のないビジョンと冒険心を持ち、装飾、デザイン、建築の分野できらめく才能を発揮しながらもアイリーン・グレイ。バウハウスやデ・ステイルの影響を受け、ル・コルビュジエと共に仕事をしてきた彼女は、死の間際、自身にまつわる資料を処分してしまったため、その名前は歴史の表舞台から徐々に消えていく。しかし、手掛けた作品は高い評価を受け、代表先のアジャスター・テーブル"E.1027"は、モダニズムを体現した家具としてニューヨーク近代美術館(MOMA)の永久コレクションにも所蔵された。そして2009年、アイリーンの名は再び世間の注目を集める。世界で最も長い歴史を誇る美術品オークションハウス、クリスティーズで開催された『イヴ・サンローラン&ピエール・ベルジェ・コレクション 世紀のオークション』にて、彼女が手掛けた<ドラゴン・チェア>が、当時史上最高額の約28億円で落札され、大きな話題となったのだ。
本ドキュメンタリーでは、現在でも時代の最先端を走り、各界に影響を与え続けているアイリーンの生い立ちから、亡くなるまでを残された当時の作品や関係者、研究家のインタビューを交え、そのヴェールに包まれた肖像を明らかにしていく。
■アイリーン・グレイ(1878-1976)
アイルランドの貴族の家に生まれ、単身パリに渡る。1906年、日本人工芸家・菅原清造と出会い、漆を取り入れた斬新な家具を生み出し、当時のシーンで話題を呼ぶ。アールデコだった作風は徐々にモダニズムへと変化し、1922年には自身の店<ジャン・デゼール>をパリにオープン。1929年に手掛けた建築処女作<E.1027>は、かのル・コルビュジエを驚嘆させ、彼をこの地に惹きつけた。また同性愛者でもあり、シャンソン歌手のダミアは恋人のひとりだった。生涯に渡り自らのスタイルを貫き続けた、気高く勇敢なクリエイター。