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初演の1995年以来、久しぶりにロンドンのダンスの殿堂、サドラーズ・ウェルズ劇場に帰ってきたマシュー・ボーンの「白鳥の湖」。11月30日からのプレビュー公演を経て、12月7日夜、十周年記念公演の初日を迎えた。
クリスマス仕様の飾り付けが楽しげな劇場にはこの夜、レッドカーペットが敷かれ、ロンドンのエンターテインメント界で活躍するスターをはじめ、開演前のロビーも、いつになく華やいだ雰囲気だ。 |
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© Bill Cooper 2004 |
初日の“ザ・スワン”&王子を踊ったのは、ホセ・ティラード&ニール・ウェストモーランドのコンビ。ともに長身でクラシック・バレエ畑出身の二人が、チャイコフスキーの美しいメロディにのって舞台いっぱいに展開するデュエットは、この上なく優雅なムードに満ちあふれている。世界中で何度も上演されてきた完成度の高い作品ながら、細部に至るまで振付やギャグなどが練りあげられていて、男性ダンサーたちによる力強く美しい白鳥の舞いも、以前よりさらに迫力を増した感がある。衣装や舞台装置にもいくつか変更が加えられており、特に、スワロフスキーのクリスタルがふんだんにあしらわれた、第三幕の舞踏会での女性キャストのドレスのまばゆさが印象に残った。
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© Bill Cooper 2004 |
カーテンコールでは、割れんばかりの拍手の中、マシュー・ボーンその人も舞台上に登場。総立ちの観客の大喝采を浴びた。終演後のパーティーには、映画「ヴァン・ヘルシング」に出演して人気上昇中のスター、ウィル・ケンプも駆けつけ、大勢の人々が、ダンスの歴史を変えた不朽の名作の新しい船出を祝っていた。 |
ロンドン公演最終日 |
ロンドンの観客に圧倒的な支持をもって迎えられた「白鳥の湖」10周年記念公演。その最終日となった1月16日、キャンセル待ちの長い列がサドラーズ・ウェルズ劇場を取り囲む大熱気の中、昼夜二回の公演が行なわれた。
主演コンビは、昼の部がジェイソン・パイパー&クリストファー・マーニー、夜の部がホセ・ティラード&ニール・ウエストモーランドという顔合わせ。一ヵ月以上踊り込んできただけあって、それぞれが作品、役柄への理解をさらに深めてきたのが手に取るように感じられる。演技を超えたかのように自然に役として舞台上に存在し、想いを通い合わせてゆく様子が奇跡のように美しいジェイソン&クリス組。一方のホセ&ニール組は、動きにシャープさ、軽やかさが増したことで、もともとの気品のある美しさが一層際立つようになった。終演後、客席から色とりどりの花が投げ込まれる中、マシュー・ボーンも舞台上の出演者に加わり、スタンディング・オベーションに何度も何度も応えていた。さらなるリハーサル期間を経た日本公演では、いったいどんな感動を味わわせてくれるのか。待ち遠しくてならない、千秋楽の舞台だった。 |
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