今度の「ローラン・プティの世界」で“ノートルダム・ド・パリ”のカジモドを踊る森田健太郎氏と、AMP「白鳥の湖」で初来日したジーザス・パスター氏の対談が行われました。 |
過去に英国のスコティッシュ・バレエに在籍していたという意外な共通点を持つお二人は初対面でしたが、話が進むうちにどんどん打ち解けていき、最後には笑顔で肩を並べて写真まで撮るようになったほど。 |
海外での活動も多いお二人に、海外での仕事の時に心がけていることや、同じ役を何度も踊ることについての気持ちなどを伺いました。 |
〜お知らせ〜
「デューク・エリントン・バレエ」に出演を予定していました小嶋直也、森田健太郎が体調不良のため出演不可能となりました。
何卒ご了承頂きますようお願い申し上げます。 |
――― お二人ともスコティッシュ・バレエに在籍していらっしゃいましたね。 |
ジーザス:外国へ行くということは非常に不安でしたが、スコティッシュ・バレエで「アラジン」役のダンサーを探していると聞き、その「アラジン」を演じるために行きました。この1年間は、とても良い経験になりました。 |
――― 良い経験とは具体的にどういうことですか。 |
ジーザス:暖かい国からとても寒い国に行ったので、寒さがとても堪えました。寒さは辛かったけれども、「アラジン」は非常に良い振付でしたし、周りの人々も非常にすばらしい人たちばかりで良い経験になりました。 |
――― 森田健太郎さんは、これから「ノートルダム・ド・パリ」のカジモド役を踊るのですが、ジーザスさんは、ローラン・プティの作品を踊ったことはありますか。 |
ジーザス:プティの作品は、見たことはありますが、踊ったことはありません。 |
――― 「白鳥の湖」の白鳥は人間ではなく、カジモドは人間だけれどもハンディを背負っています。そういった役柄をダンスで表現するにあたって、何が大事ですか。 |
ジーザス:たとえば白鳥の場合、白鳥は動物であり、人間も原始的にはもともと動物であった。自分の中にも動物性というものがあるはずなので、過去にさかのぼって、そういったものを引き出してゆく。しかし自分は人間であり動物ではないので、白鳥を演じるにあたり、白鳥をそのままコピーするわけではなく、人間でありながら自分の内面にある動物性を引き出しながら演じることが大切だと思いました。 |
――― AMP「白鳥の湖」を見ているといつも違う演技をしたり、違うアクションをしていましたが、白鳥がのりうつってしまいましたか。 |
ジーザス:自分が感じていることは毎日違うので、それを日々表現していくことは良いことだと思うし、自然なことだと思います。毎日、舞台の上で、もうちょっと獰猛であったり、大人しかったりという感情をそのまま表現しています。 |
――― カジモドについてはどうですか。 |
森田氏コメント |
ジーザス:まず最初は見て学びます。ただし、自分のやり方や表現があるので、演じていくうちに、同じ役でも、独自の色が出てきます。それが観客にとってもおもしろいことであり、美しいものであると思います。 |
|
――― 同じ役を何回踊るとダンサーは満足するのでしょうか。 |
ジーザス:一番初めに踊る時は、特別なものではありますが決して完璧ではありません。回を重ねてゆくことで少しずつ自分が分かってきます。その後に自分の中でそれをまとめあげる時間が必要です。2、3回踊る中で少しずつ学んでいくことがあって、まとめあげる作業を経て踊るという繰り返しです。 |
森田氏コメント |
ジーザス:おっしゃる通りです。何回踊っても満足することはありません。ああすればよかった、こうすれば良かったと思うことが多いです。 |
――― 踊り以外の雑念とかバランスの取り方や外国で踊ることで心がけることは? |
ジーザス:僕にとっては、外国で踊ることは難しくありません。今回は日本に初めて来ましたが、日本が大好きです。他の国にも行きますが、いったんはスペインの自分の家に戻り、スペインの食べ物を食べて、太陽を見て、それからまた出て行くのが大切なんです。 |
|
|
 |
|