スタッフダイアリー

五感が研ぎ澄まされる小説

先日、今回のギャザリングのゲストに登場していただいた謝孝弘さんの小説「藍の空、雪の島」(スイッチ・パブリッシング)を読みました。
純粋な心を持った一人の少年が主人公のストーリーは、重いテーマを扱っているのですが、そこには生命の輝き、みずみずしい感性の世界が広がっています。足裏で感じる大地のリアルな感触、心を澄まして聞く生命の音、母の味、眼前に広がる鮮明な藍の色、真っ白な雪の色。。。様々な感覚が喚起させられます。特に冒頭から漂う“スカケウ”の白い花の清冽な香りは、この小説の重要なエレメントになっています。各章につけられた詩的なタイトルも美しいです。この本は、現在BunkamuraのNADiff modernでもお取り扱いしています。
是非この感覚を実際に味わってみてください。きっと気持ち和やかになる香りがあなたにも届くはずです。