スタッフダイアリー

2005年1月アーカイブ

スロー・ライフ読本

今、開催中の「グランマ・モーゼス展」を見ました。前回の「流行するポップ・アート」展に比べると、正直、ミュージアム・ギャザリングに関わっていなければ行かなかったんじゃないかなあという気がしますが、前にこのダイアリーでも書いたとおり、普段なら行かないような展覧会に行くことによる発見が、今回もありました。その温かみがあってほのぼのとした世界に惹きこまれたのはもちろん、今回はミュージアム・ショップで販売されているカタログに書かれている彼女の生涯や姿勢にまつわる文章がいいんですよ。僕はアーティスト自身の考え方や生き方と作品を切り離して見ることが出来ない人間なので、作品の図版を見ながら、彼女が生前「お金は無くとも家族に支えられ、ささやかな自分の生きがいを見つけていけば人生は幸せ」と述べていた、なんて一文を読むとじーんとしてしまいました。単なる“生きがい”ではなく、“ささやかな”っていう一言が彼女の静かで優しい人柄を感じさせるんですよね。グランマ万歳。他にもいろいろと人生の機微に触れる言葉に出会えるので、このカタログは一人の女性画家の作品と生き様を通してスロー・ライフというものを理解する本としても楽しめると思いますよ。