時は天保、下総国の清滝村。その村で二軒の旅籠や賭場を経営する〈鰤の十兵衛〉は、自分の財産を三人の娘に分け与え気楽な隠居生活をすることを考えていた。そこで三人の娘を呼び出し「この先、自分をどれだけ大切にしてくれるか?」を語らせ、それに応じた財産分与をしようとする。口がうまい長女〈お文〉と次女〈お里〉に対して、バカがつくほど正直な三女〈お光〉。お光はお世辞をうまく言うことができず父の機嫌を損ね、とうとう家を追い出されてしまう。
こうして、まんまと父の財産を手に入れたお文とお里。しかし強欲な2人はそれだけでは飽き足らず、財産の全てを自分のものにしようと、それぞれの亭主を親分にして骨肉の争いを始める。物騒なはかりごとが渦巻く清滝村。そこに突然現れたのが、無宿者の〈佐渡の三世次〉だ。足は不自由で背中にこぶのある彼は、剣術は得意ではないが策略ならお手の物。両家の争いをうまく利用して、清滝村の親分に成り上がろうとする。また一方では、お文の息子〈きじるしの王次〉が父の訃報を聞きつけ清滝村に駆けつけるのだが……。
『リア王』『リチャード三世』『ハムレット』『ロミオとジュリエット』……シェイクスピアの名作が見事に絡み合って生み出された新たな物語! 果たして、この争いの行く末は……。


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