この上ない豪華キャストが話題の「天保十二年のシェイクスピア」。稽古に入るまでにはまだ時間があるが、現時点での意気込みや蜷川演出について唐沢寿明、藤原竜也、篠原涼子の三人に語ってもらった。


――「天保十二年のシェイクスピア」の話は以前からご存知でしたか?
以前に上川(隆也)がやってたよね。(※2002年に今回、唐沢が演じる“佐渡の三世次”を演じている)この間、たまたま会ってその時の話を色々してたんだけど。

――稽古にはまだまだ時間がありますが、どんな風に演じたいと思っていますか?
自分なりのキャラクターを出したいとは思ってるんだけど、稽古に入ってみないとわからないな…。やっぱりライブだし、自分で“このセリフはこういう風に言おう”と考えていっても相手の出方によって変えなきゃいけないこともある。自分で全部決めて、そればっかりやっているなんて変でしょ? 会話ですから。

――共演者の印象は?
手強いよね(笑)。改めてキャストをみて、びっくりした。舞台上じゃなくて、劇場の客席で「どうもご無沙汰してます」と挨拶するだけの時でも個性が強くて“あぁ、俺負けてるな…”と思う俳優さんとかいっぱいいるもん。ただせっかくこれだけの俳優さんたちがそろったんだから高め合って行ければいいと思ってます。

――今回は蜷川さんが70歳の誕生日を迎える、記念の公演でもありますよね?
そこにキャスティングしてもらえたっていうのは、うれしいことだよ。かえせるかどうかはわかんないけど、精一杯やろうと思ってます。


――台本を読んでの感想を聞かせて下さい。
読んだときは、誰がどの役をやるのかわからない状態で読んだんですけど“この人はこの役かな?”と想像したりして、それがすごく面白かったです。僕が演じる役も、今までに演じたことがないようなタイプの役なので本当に楽しみ! 稽古も何も始まっていない状態でこんなことを言うのは変かもしれませんが“手応えのある役”です。読んでいるだけで役に対するイメージがどんどん膨らんでいくんです。読んでいて、ワクワクしました。

――今回は劇中で歌も歌われますよね?
初めてです。僕はブルーハーツとミスチルと長渕の歌は得意なんですけどね(笑)。でも歌というよりは、やはり芝居をしっかりしないと、と思っています。蜷川さんは僕の手のうちを全部わかっている人だから、厳しくくると思いますし。

――蜷川さんとは既にこの作品について話されているんですか?
いまは「近代能楽集」に集中しているので、まだですね。こんなに蜷川さんとの仕事が続くのは初めてで、うれしいです。こうやって芝居を固める年というのは大事なことだと思っていますし、自分自身も俳優として成長できる年にできればと思っています。


――篠原さんの舞台デビューは蜷川さん演出の「ハムレット」ですよね?
あの時は全くのド素人状態で、今でもそうだとは思うんですけど、本当に何が何だかわからない状態で入って行きました。

――実際に蜷川演出を体験された感想は?
蜷川さんがそばにいると安心するんです。稽古が始まる前に必ず蜷川さんがお話をされるんですけど、それがすごく楽しみでした。おっしゃられていることすべてが私にとって興味深くて、すごく大事なことのように思えたんです。だから自分の稽古がない時でも、その話だけを聞きに行ったりもしてましたね。

――その時から、久しぶりの舞台になりますね?
舞台はすごく緊張しちゃうんですよ。目の前にお客さんがいると思うと、もうダメ(笑)。だって間違えられないじゃないですか! でも不思議なんですけど、やっているうちに刺激もおぼえていくんです。お客さんがいると恐いと思いつつも、その場で反応してくれることが刺激的でした。面白いなと思ってくれてるなとか、感動してくれてるな…と空気で感じるんですよ。

――今回は公演期間も長いですが…
筋トレしときます(笑)。最近やってないので、そろそろ身体をつくらないといけない。蜷川さんの演出がどうくるかわからないから、稽古には真っ白な状態で行きたいなと思ってます。

interview & text by  山下由美(フリーライター)
photos by  源賀津己

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