2026.10.09 UP
文化が薫るまち歩き―<松濤・南平台・桜丘>を巡る大人の渋谷まち歩き

渋谷駅の西側に広がる松濤・南平台・桜丘エリアには、美術館や能楽堂をはじめ、個性豊かな建築や映画文化に触れられる施設など、大人の好奇心をくすぐるスポットが点在しています。落ち着いた街並みをゆっくりと歩きながら、和の文化や芸術、建築、食を楽しむコースをご紹介します。
ご紹介コース
戸栗美術館
↓↓徒歩約5分↓↓
パブリックアート「HELIX」
↓↓徒歩約3分↓↓
渋谷区立松濤美術館
↓↓徒歩約5分↓↓
神泉いちのや/器まるかく 神泉
↓↓徒歩約10分↓↓
在京マレーシア大使館
↓↓徒歩約3分↓↓
市川崑記念室
↓↓徒歩約8分↓↓
セルリアンタワー能楽堂
↓↓徒歩約1分↓↓
ガーデンラウンジ「坐忘」

■ 戸栗美術館
東洋陶磁器専門美術館で和の意匠に見惚れる

静かで落ち着いた高級住宅街・松濤地区にたたずみ、やきもののタイルで覆われたレトロな外観が目を引く東洋陶磁器専門美術館。
館内へ足を踏み入れ、展示室をゆっくりと巡れば、数千点の収蔵品から選りすぐられた器の繊細な意匠に、思わず見惚れてしまいます。鑑賞の合間には、ラウンジでひと休み。大きなガラス窓の向こうに広がる緑豊かな庭を眺めていると、つい時間が経つのを忘れてしまいそう。

■ パブリックアート「HELIX」
癒やしの自然スポットに力強くそびえ立つ螺旋状のモニュメント

渋谷には岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」をはじめ駅周辺や公園などに多くのパブリックアートが点在し、街を歩きながら気軽にアートと出会うことができます。
戸栗美術館を出て、鍋島松濤公園へ。池の周りを緑が囲む園内をゆったりと歩いていると、公園の一角に、螺旋を描きながら空へと伸びるモニュメントが現れます。
これは、渋谷区立松濤美術館の建設計画にも関わった造形美術家・脇田愛二郎氏による作品「HELIX」。HELIXとは、英語で「螺旋」を意味します。脇田氏はさまざまなアイデアで“螺旋”や“ねじれ”を表現し続け、本作と同じようなモチーフを用いた抽象彫刻が中央区や墨田区など都内数ヵ所に設置されています。
高さ数mの作品を間近で見上げると、ねじれながら上へと向かう造形が、周囲の木々とは異なるリズムを生み出していることに気づきます。見る位置を少し変えるだけで、螺旋の重なり方や空との取り合わせも違って見えるのが面白いところ。脇田氏ゆかりの松濤美術館へ向かう前に、しばし足を止め、自由な気持ちで作品と向き合ってみてはいかがでしょうか。
■ 渋谷区立松濤美術館
多彩なテーマの展覧会に共鳴する独特の建築美

多彩なテーマの展覧会とともに建築も楽しめるのが渋谷区立松濤美術館の魅力。
内側に湾曲した石造りの外観は、建物の前で思わず足を止めて眺めたくなるほど印象的です。館内に入ると、薄いオニキスをガラスに挟み込んだ光天井や、曲線美を追求した螺旋階段など、細部にも独創的な意匠が見つかります。まさに建物自体がアート。展示作品とともに、建物そのものもじっくりと味わってみてください。

渋アート連携施設・渋谷区立松濤美術館について詳しくはこちら >
■ 神泉いちのや
ふっくら蒸した身に秘伝のタレを絡めた絶品鰻が味わえる老舗店

■ 器まるかく 神泉
普段使いにもハレの日にもぴったりな器と出会えるセレクトショップ

*過去にご紹介した記事はこちら
文化が薫るまち歩き -戸栗美術館編-〈神泉・奥渋谷エリア〉

■ 在京マレーシア大使館
旧山手通り沿いに溶け込んだ白亜のモダニズム建築

松濤を後にして、旧山手通りを南平台方面へ。落ち着いた街並みを歩いていると、通り沿いに大きな白亜の建物が姿を現します。
この建物は、在京マレーシア大使館。端正なモダニズム建築に異国の趣が漂い、旧山手通りの洗練された景観にも自然に溶け込んでいます。
建物だけでなく、道路との間に設けられた壁にも注目してみましょう。壁一面に並ぶ幾何学模様は、イスラム文化の伝統的なシンボルである八芒星をモチーフにしたもの。少し足を止めて眺めると、同じ形が連なりながら生み出す、繊細で整然とした美しさが見えてきます。
■ 市川崑記念室
日本映画界の巨匠の創作の裏側と等身大の人柄に触れる

市川監督が1956年に購入したドイツ製アリフレックス35ミリカメラ。ニュース映画や記録映画用に開発されたもので、『東京オリンピック』の撮影に使用したそうです。
マレーシア大使館から南平台の街をさらに歩くと、マンションの一角に「市川崑記念室」があります。かつてこの場所には、日本映画界の巨匠・市川崑監督の私邸がありました。建て替えを経て、市川監督の生誕100年にあたる2015年、ご長男で崑プロ代表の市川建美さんがマンションの1階に記念室を開設しました。
こちらの記念室では、市川監督と彼を支えた妻であり脚本家の和田夏十さんが長年愛用していた品々や作品に関する資料を展示し、日本映画史に残る名作の創作の舞台裏に触れることができます。
深緑色の出入口ドアを開けると、まず目に入るのが、市川監督の歴代作品を紹介するパネルです。シーン写真とともに監督自身のコメントが記され、一つひとつたどっていくうちに、次第に“市川ワールド”へと引き込まれていきます。

左)マンションの一角に設けられた「市川崑記念室」の入口。落ち着いた深緑色の扉が目印です。
右)展示室の入口前には市川監督が実際に使っていたディレクターズチェアが飾られています。
さらに展示室へ進むと、市川監督が制作現場で用いた35ミリカメラや編集機、作品の絵コンテ、書き込みの残る台本などが並びます。煙草ケースや、大好きだったというミッキーマウスのスリッパなど、日常をうかがわせる愛用品も。資料を間近で眺めていると、作品づくりに向き合っていた市川監督の姿が、少しずつ浮かび上がってくるようです。

左)自宅で使用されていた作業机と食器戸棚。市川監督は文房具が大好きだったそうで、こだわりの愛用品が数多く展示されています。
右)市川監督はカメラが好きで、仕事だけでなくプライベートでも多くの写真を撮影。また8ミリカメラも愛用していたそうです。

編集が何より好きだという市川監督が自費で購入し愛用したスティンベック編集機。画と音を完全に同期させて作業でき、数々の傑作を裏から支えました。
室長も務める建美さんに注目してほしい展示を伺ったところ、市川監督にとってかけがえのない公私のパートナーだった和田さんにまつわる資料を挙げてくださいました。
脚本原稿や執筆中の写真に加え、家事や育児にまつわる記録も展示されています。映画を生み出す仕事の時間と、家族として過ごす日常。その両方をたどることで、創作をともにした2人の関係が、より身近に感じられます。
なお、見学は電話での事前予約が必要です。1カ月先まで予約でき、当日予約も可能ですが、土曜日は前日までの予約が必要です。予定に余裕を持って訪れてください。

■ セルリアンタワー能楽堂
静けさに包まれた、心落ち着く伝統芸能の舞台

南平台から桜丘へと歩き、セルリアンタワー東急ホテルの地下2階へ。ここにあるのが、能・狂言を上演するセルリアンタワー能楽堂です。
公演がない日の14:30〜17:30の時間帯は、施設内を無料で見学することができます。
静けさの中で能舞台と向き合えば、写真だけでは伝わらない舞台の広がりや、能楽堂ならではの厳かな空気を感じられるでしょう。公演鑑賞とはまた違う時間を、ゆっくりと過ごしてみてください。
渋アート連携施設・セルリアンタワー能楽堂について詳しくはこちら >
「能楽堂見学」を渋アートスタッフが体験取材したレポートはこちら >
■ ガーデンラウンジ「坐忘」
名庭と向き合いながら心をほぐし、渋谷の喧騒を忘れていく

枯山水の日本庭園「閑坐庭(かんざてい)」。向かって右奥は手つかずの自然をイメージし、荒々しい形の石を配置。左側に移るにつれて綺麗に加工された石へと変わり、自然から都市へと移り変わりを表現しています。
能楽堂で和の空気に触れた後は、セルリアンタワー東急ホテルのロビーフロアへ。まち歩きの締めくくりに訪れたいのが、ガーデンラウンジ「坐忘(ざぼう)」です。
店名は「坐して忘れる」という意味があり、都会の喧騒を忘れて心をほぐし、満ち足りた時間を過ごしてほしいという想いが込められているのだとか。
和と洋の融合をテーマにしたホテルらしく、ラウンジも和モダンを基調とした落ち着きのある空間です。天井が高く、席の間隔もゆったりと取られています。大きな窓からは柔らかな自然光が差し込み、その向こうには、禅僧で庭園デザイナーでもある枡野俊明氏が手がけた日本庭園「閑坐庭(かんざてい)」が広がっています。
枯山水の意匠と緑が織りなす庭園を眺めていると、まさに「坐して忘れる」の言葉通り心がほぐれてきます。能楽堂を見学した後に訪れると、舞台に流れていた静かな空気の余韻を、そのまま味わうことができそうです。

行灯を思わせるスタンド照明や、雪見障子のように庭の景色を切り取る窓のシェードなど、店内には和を感じさせる意匠がさりげなく取り入れられています。
こちらを訪れたら味わいたいのが、茶葉はもちろん抽出温度や淹れ方にもこだわったお茶のメニュー。紅茶をはじめ中国茶やオリジナルブレンドのハーブティーなど約30種類のティーセレクションを取り揃えています。
まち歩きの最後にひと息ついて1日の余韻に浸るなら、定番または季節限定のケーキとティーセレクションから1杯選べるケーキセットがおすすめ。ゆったりとしたソファに身を預け、窓の外に目を向けながら、ホテルメイドのケーキと至福の一杯を頂けば、ほっと心が澄んでいくことでしょう。
季節の食材を取り入れたサンドウィッチやデザートが3段のスタンドを彩る、優雅なアフタヌーンティーも人気です。

ケーキセットのケーキは店頭のケースからお好きなものを選べます。定番を中心に、旬の素材を用いた季節限定メニューも揃っていて、訪れるたびに様々な味と出会えます。写真は一番人気のモンブランと季節限定のイチジクのタルトフィグ。

■■スポット情報■■
*それぞれ外部サイトに遷移します*
パブリックアート「HELIX」〈戸栗美術館から徒歩約5分〉
東京都渋谷区松濤2-10-7 渋谷区立鍋島松濤公園
神泉いちのや〈渋谷区立松濤美術館から徒歩約5分〉
東京都渋谷区神泉町20-22
TEL:03-5459-6862
[営業時間] 11:30~15:00(L.O.13:30)/17:30~22:00(L.O.20:30)
[定休日] 月曜(祝日の場合は翌火曜)
https://www.ichinoya-unagi.jp/
器まるかく 神泉〈渋谷区立松濤美術館から徒歩約5分〉
東京都渋谷区神泉町20-4
TEL:03-3463-3225
[営業時間] 11:00~19:00
[定休日] 水曜
https://marukaku.jp/
在京マレーシア大使館〈渋谷駅から徒歩約15分〉
東京都渋谷区南平台町20-16
市川崑記念室〈渋谷駅から徒歩約15分〉
東京都渋谷区南平台町18-4 フィルモ南平台101号
TEL:03-3461-5541
[開室日] 火・水・金曜・第2土曜(祝日を除く)
[開室時間] 11:00~12:00/13:30~14:30/15:30~16:30(事前電話予約制)
[入場料] 500円
https://www.konichikawa.com/memorial.html
ガーデンラウンジ「坐忘」〈渋谷駅から徒歩約5分〉
東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー東急ホテル LBF
TEL:03-3476-3439
[営業時間] 10:00~22:00(L.O.21:30)
[定休日] なし
https://www.tokyuhotels.co.jp/cerulean-h/restaurant/zabou/index.html
*2026年10月現在の情報です。
*営業時間・定休日が急遽変更になる可能性もあります。各HP等でご確認の上、お出かけください。



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