2025.08.20 UP
みる・まなぶ・ふかめる―セルリアンタワー能楽堂・能楽堂見学―
本格的に日本美術や伝統芸能を鑑賞する前にちょっと予習したいな・・・と思うことはありませんか?渋アート連携施設では、鑑賞体験をより深められるイベントだけでなく、はじめての方でも気軽に体験できるイベントも開催されています。
このシリーズでは、渋アート連携施設で開催されるイベントを、実際に渋アートスタッフが体験取材し、ご紹介します。
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今回、体験取材したのは、セルリアンタワー能楽堂。
セルリアンタワー能楽堂では、誰もが気軽に訪れられるよう、公演が行われていない日の14:30〜17:30の時間帯に、見学日として施設内を無料で公開しています。
都会の喧騒から離れて、静けさに包まれた空間で、ゆったりと日本文化に触れることができます。
能楽が好きな方はもちろん、「伝統芸能に関心があるけれど、公演を見に行くのはハードルが高い」と感じている方にもおすすめです。
まずは、見学日に能楽堂に足を運び、公演時とはひと味違う体験を楽しんでみませんか?
セルリアンタワー能楽堂
セルリアンタワー能楽堂はセルリアンタワー東急ホテルの地下2階にあり、洋風なデザインの建物内に和の空間が広がっている点が、注目のポイントです。
また、能・狂言を中心に、バレエやクラシック音楽をはじめとする異文化との共演など、多彩な公演活動を行っているのが魅力的です。
主催の公演では、解説の時間が設けられているほか、あらすじなどが分かるプログラムが配布されますので、初めての方も安心して参加できます。
今回は、見学を通して気づいたことをレポートし、能楽に触れる次のステップとしておすすめの楽しみ方もご紹介。能楽堂への行き方も写真付きで解説しますので、建物内をスムーズに移動できますよ。
公演を鑑賞する前のファーストステップとして、見学日を体験してみましょう。
■自分のペースでゆったり味わう能楽の世界
セルリアンタワー東急ホテルの地下2階に降りると、能楽堂の看板があらわれ、一気に洋風から和の雰囲気に。
看板の右手に進むと、洗練された日本文化を感じる空間が広がっています。奥へと伸びる通路を歩いていくと、能楽堂を間近で鑑賞できることへの期待が高まっていきます。
突き当り左手の部屋にはいると、能楽堂のパンフレットやチラシが置かれた受付がありました。さっそくパンフレットを手に取り、右手の扉へと進みます。
「見所(けんしょ)」と書かれた扉から、いよいよ能楽堂の中へ。
まず、足を踏み入れて驚いたのは、舞台のスケールです。テレビなどの映像では、舞台上がアップで映ることが多く、能楽堂を全景で見る機会はあまりなかったと気がつきました。想像していたよりも迫力があり、大きく感じられました。
舞台と観客席が近く、能や狂言を間近で堪能できるのも魅力です。
様々な角度から舞台を眺めているうちに気になったのが、中央に描かれた松の絵。
パンフレットを読むと、日本画家・仁志出高福(にしでこうふく)によって描かれていると分かりました。
調べたところ、能楽堂によって松の表現が少しずつ異なるため、詳しい方が見れば、「松絵(まつえ)」だけでどの能楽堂か判別できるとのこと。それぞれの舞台によって、特色があるのだと知りました。
また、舞台の周りに敷かれた白い石に目が留まり、リサーチしてみると、この石は「白砂(しらす)」と呼ばれ、もともとは光を反射させる役割を担っていたという説を発見。元来、能楽堂は屋外に設置されていたため、白砂が照明の代わりだったと考えられているそうです。
それぞれの舞台装置を調べることで、能楽堂の特徴や歴史が分かり、より深い体験となりました。
セルリアンタワー能楽堂の舞台や「松絵」が描かれている理由など、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説されていますので、ぜひご覧ください。
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静かな空間でじっくりと能楽堂を見学でき、隅々まで観察したり気になった部分を調べたりと、自分のペースで楽しめました。
能楽堂内は写真撮影が可能なので、スマートフォンで写真を撮ると、思い出にも残ります。
「いきなり公演に行くのは敷居が高い」と感じる方も、美術館や博物館を訪れるような感覚で、日本の伝統芸能に触れてみてはいかがでしょうか。
■心落ち着く能楽堂でのひととき
セルリアンタワー能楽堂を見学する前は、能や狂言を鑑賞したいと思いながらも、「特別な知見がないと、理解するのが難しいのでは」と不安も感じていました。
今回の体験を通して、能楽堂の雰囲気が分かり、パンフレットなどで基本的な知識を学ぶことができました。
「能楽に関心がある」という方は、見学日をリラックスして楽しみ、その後興味がわいた公演を鑑賞すると、ハードルが低く感じられるでしょう。セルリアンタワー能楽堂が、心落ち着くひとときを過ごせる場所として、ふと立ち寄りたくなるような存在になるはずです。
公演に行く前の第一歩として、ぜひ見学に訪れてみてください。
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最後に、セルリアンタワー東急ホテル入口からのルートを、写真を交えてわかりやすくご紹介します。
セルリアンタワー東急ホテルは、国道246号線沿いにあります。JR渋谷駅からは「新南口改札」を利用すると便利です。
ホテル入口のエスカレーターを上り(画像左)、右手のホテルエントランスから建物内に入りましょう。(画像右)
このフロアがホテルのLB階です。能楽堂の見学可能日は左手に看板が掲示されます。奥にエスカレーターがありますので、通路をまっすぐ進んでください。(画像左)
エスカレーターで、地下1階に降ります。(画像右)
エスカレーターを降りたら左手に進みます。(画像左)
奥のエスカレーターまで、さらに進んでください。(画像右)
エスカレーターで地下2階へ降ります。ここまで来れば、能楽堂はもうすぐそこ!エスカレーターを降りて、左後方が能楽堂の入口です。
◆ ◇ ◆ 渋アート的視点 ◆ ◇ ◆
セルリアンタワー能楽堂に足を運び、「能楽に興味がわいた」という方に向けて、次のステップとしておすすめの楽しみ方を2つご紹介します。
①セルリアンタワー能楽堂で過去の舞台映像や公演チラシをチェック
能楽堂の「見所」入り口前では、過去の舞台映像が上映されており、能や狂言の雰囲気を知ることができます。
これから開催される公演のチラシを手に取れるコーナーもありますので、気になる作品があればぜひチェックしてみましょう。セルリアンタワー能楽堂のホームページにも、公演の詳細が掲載されています。
②「能&狂言ミニ事典」
セルリアンタワー能楽堂のホームページで公開しているコンテンツです。「あらすじ集」と「用語集」があり、短い文章で分かりやすく解説されています。「あらすじ集」には、写真も載っていますので、作品のイメージがわきやすいですよ。
ご自身のペースで能楽に触れることで、伝統芸能に親しみやすくなり、公演を楽しく鑑賞できるようになるでしょう。
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取材・文:浜田夏実
※見学日は施設カレンダーでご確認ください。
■セルリアンタワー能楽堂 注目の公演
2019年度よりスタートした「渋谷能」は、若手能楽師が集まり芸を披露する全四夜の特別企画です。関連企画の開催や、ホテルタイアップ付きチケットの販売もあります。大変人気の公演のため、気になる方はお早めにチェックを!