プロの技に感嘆する成宮。自分で作った料理の出来映えにも大満足!
レストランの厨房を舞台に繰り広げられる物語『KITCHEN キッチン』。作者のウェスカーはコックやパティシエとして働いた経験も持っているというだけあって、戯曲には詳細な設定がある。コックたちが作る料理名まで、きちんと指定されているのだ。しかも「いついかなる時も実際の食物を使ってはならない」という指定も! 劇中、俳優たちはセリフをしゃべる時も、そうでない時も、すべてをマイムで表現しなくてはならないのだ。ということで、厨房の仕事を理解するために服部栄養専門学校の協力により“調理実習”が行なわれている。すでに3度目となった調理レッスンに潜入した。
「リアリズム演劇でしょ?」と蜷川に冗談を言いながらも、作業中は真剣な鴻上。
 それぞれの俳優たちは自分が演じる役が担当する料理を習う。鴻上尚史はロースト・チキンの担当。オーブンに入れてからしばらく時間がかかるため、控え室で戯曲を確認しながらその時間を過ごしていた。成宮寛貴は魚のムニエルを作る。魚のムニエルといっても、付け合わせのレモンの切り方や野菜の調理の仕方も覚えなければならない。普段から野菜炒めなど簡単なものなら自分で作るというだけあって、包丁の扱いもなれたもの。とはいってもプロの野菜の剥き方は形もきちんと整えなければならない。塩こしょうの振り方なども、何度か確認をしていた。焼き上がった魚のムニエルは「今日は朝から何も食べてない!」という演出の蜷川幸雄が味見し、「おいしい」と成宮を誉めていた。
高橋&大石コンビはデザートの盛りつけに挑戦中。独創的なセンスに周りから笑いが…
 高橋洋と大石継太の菓子職人コンビは、調理場の片隅でプディング作りに熱中。調理場の1日を描いた戯曲なので、“営業中にすること”を重点的にさらっていく。それぞれのアクションを「これは格好よく見えるかな…」とか「これは2人でやる?」とか、実際の稽古をイメージしながら組み立てているのが面白い。鈴木豊は野菜をサラダ用に仕込む作業や、肉を挽く作業などを確認。ドレッシングをまぜるアクションなどをひとつずつメモをとりながら熱心に先生に質問をしていた。大川浩樹は、すでに前回までの実習でひと通りのことを習っていたために、色んな人のところに顔を出しコックの立ち振る舞いを学んでいた。
最初はかなり恐々と作業をしていた勝地。ガス台にはこぼれ落ちたご飯がいっぱい!?
 勝地涼が作っていたのは、焼き飯。「料理は苦手」という彼は、フライパンをふるのに必死! フライパンから具材がこぼれ落ちるのを見て、蜷川に「大丈夫か!?」とからかわれていたが、本人は真剣そのもの。3度も同じ作業を繰り返し、徐々にフライパンの扱いにもなれていったようだ。
 時間が経過し、おいしそうに焼き上がったロースト・チキン。最後に油をかけて、皮をパリッと仕上げる。とにかく調理道具が重いようで、鴻上は「重労働だな…」とボヤく。ひとつひとつの作業に先生が困る程の質問を繰り返す鴻上に、蜷川は「イギリスの俳優みたいだな」とひと言。コックを演じる俳優たちは、少しでも演技に役立つ何かを仕入れようと真剣だった。
片手に3枚のお皿をのせようとするウエイトレス役の杉田。
 ポーターとウェートレスを演じる俳優たちは、サービスの基本を習っていた。調理場が舞台なので、調理場でポーターやウェイトレスたちは何をしているのか?ということが中心に先生から語られる。お皿やグラス、トレイの持ち方などを体験。実際のお皿の重さや、トレイの扱い方が難しいことに驚いていたようだ。
 果たして、本番で彼らはどんな演技を見せてくれるのか? お楽しみに!
text by 山下由美
協力:服部幸應 服部栄養専門学校

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