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2024.10.11 UP

イベント

【イベント】
古刹・円覚寺で味わう日本と世界の文化体験―『茶と香りと鎌倉フレンチ』の魅力

日本文化に触れ親しむ機会として渋アートがおすすめするイベントの魅力を、渋アートスタッフ視点で深掘り取材してご紹介。
今回は、11月13日(水)開催のイベント『茶と香りと鎌倉フレンチ』について、席主・円覚寺如意庵住職 星野周徹さんへのインタビューや円覚寺・如意庵のこと、さらにイベントの内容のご紹介を通して、その魅力をお届けします。

今回ご紹介するイベントの詳細はこちら 『茶と香りと鎌倉フレンチ』
※本イベントのお申込み受付は終了しました

 

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渋谷から電車で約1時間。
都会の喧騒を忘れさせてくれるような静寂が広がるJR北鎌倉駅の目の前に、円覚寺(えんがくじ)というお寺があります。鎌倉時代後半の弘安5年(1282年)、ときの執権・北条時宗が中国・宋より招いた無学祖元禅師により開山された臨済宗円覚寺派の総本山で、2つの国宝を有し、国の史跡・名勝に指定される庭園を持つ由緒ある寺院です。

文永、弘安の役(蒙古襲来)で亡くなった人を敵味方問わず弔うため、北条時宗が発願し建立された古刹・円覚寺。

 

円覚寺の総門を入って奥へ奥へと進み、国宝・舎利殿のちょうど向かい側の小高くなった林の中に、今回ご紹介するイベント『茶と香りと鎌倉フレンチ』の会場・如意庵があります。現在は通常非公開ですが、時おり室内楽コンサートや茶話会が開催されるなど懐の深い庵です。

林の中にたたずむ趣ある如意庵。如意とは「思いどおり」という意味で、僧侶が使用する法具の名前でもあります。

 

●訪れる者を厳かに温かく包み込む『如意庵』

如意庵は、円覚寺にいくつかある塔頭の1つで約650年前に創建されました。方丈と呼ばれる禅宗寺院建築の様式で6つの部屋を廊下で取り囲む形になっており、東と南には山が迫り、西側には季節の木々や花を愛でることができる庭を有しています。平成2年に、創建当時の遺構を保護しつつ、創建当時に近い造りで新たに建てられました。

この如意庵の住職・星野周徹さんが今回のイベント『茶と香りと鎌倉フレンチ』の席主。「このイベントは、普段の生活や普通のお店では味わえない雰囲気とあらたまった設えでお迎えしますが、来てくださる方はいい意味でカジュアルな感覚で来ていただきたいと考えています。」と話します。

渋アートスタッフが取材で如意庵に伺った際、最初に感じたのは自然と背筋が伸びる感覚。厳かな空気と同時に包容力や温かみも感じる空間は、そこにいる者を慎ましく穏やかな気持ちにさせ、感覚を澄まして風や虫の音を聞き様々な香りを楽しむのにぴったりです。

円覚寺如意庵の内観。落ち着いた雰囲気の庵の床の間には、庭に咲く季節の花が生けられ、見るものの目を自然と惹きつけます。

 

●『茶と香りと鎌倉フレンチ』で味わう4つの文化

ー日本の伝統にあえてとらわれない『茶』と『香り』ー

今回のイベントの4つの柱の1つめである『茶』は茶道の枠にとらわれず、使われる水の違いを茶にうつして味わい比べます。「使う水によって、茶の味は変わります。茶に向くのは軟水ですが、同じ軟水でも種類によって味が違う。そういった違いを、感覚を澄ませて感じてもらう機会にしたいと考えています」(星野さん)
如意庵境内の湧水を使ったお茶も楽しめるそう。普段は古来の形式に則った茶道に携わる星野さんだからこそ、もっと気軽に茶道に触れられる機会を、という思いで振る舞われる『茶』。この場所でしか体験できない貴重な時間になりそうです。

2つめの『香り』では、希少な香木や如意庵伝来の香を楽しむ時間が用意されています。「香を焚いた後の空間でも白いご飯が食べられるような、後に残らずすっと香るのが本当にいいお香だと思っています」と星野さんがお話されるように、実際に如意庵に入ると存在感があるのにやわらかい香りが広がっており、自然と心が落ち着くのがわかります。本格的な香木を味わうチャンスはなかなかないもの。“本当にいい香り”を体験するには最高の機会です。

如意庵には狩野派の屏風が一対、ごく自然に置かれています。その飾らない雰囲気も、ぜひ体験していただきたい魅力のひとつです。

 

ー古都・鎌倉の禅寺で楽しむ世界の食文化『フレンチ』と『バスクワイン』ー

3つめの『鎌倉フレンチ』は、円覚寺から歩いて10分ほどの場所にある《航 北鎌倉》のシェフパトロン・橋本航季さんが担当し、当日は如意庵の一室で振る舞われます。
橋本さんは建築のお仕事からシェフに転身し、日仏伊の3ヶ国を掛け合わせたスタイルで鮮度と香りにこだわった料理を作られています。

「日頃から『地産地消』にこだわっていますので、今回のイベントでも三崎港直送の新鮮な魚介や鎌倉野菜をふんだんに使用してご提供したいと思っています」(橋本さん)

橋本さんは普段からお皿をキャンバスに見立てて、構図やバランスを考えながら盛り付けをしているそう。渋アートスタッフが一番驚いたのは「対面で食事している相手のお皿の見え方も意識して盛り付けています」という橋本さんのこだわり。目でも舌でも楽しめるお料理を、如意庵という特別な空間で楽しめるのはまさに非日常の体験です。

席主の星野さんも「味はもちろん、盛り付けのセンスも抜群なんです」と太鼓判を押す橋本さんの美しくおいしい料理。(写真は当日の料理とは異なります)

 

そして4つめは『バスクワイン』。近年、日本でもスペイン・バスク地方のチーズケーキが流行しましたが、ワインについては聞きなじみがない方もいらっしゃると思います。今回のイベントでそのバスクワインを紹介してくれるのは、バスクワイン専門店《チャコリを飲もうよ》の高*橋綾乃さん。(*高ははしごだか)

バスク地方の地ワイン(=チャコリ)に魅了され、実際にバスクのワイナリーで1年間働いた経験を持つ高橋さんは「実はバスクと日本、そして鎌倉には環境や食文化の点で共通点がたくさんあります。地元の人たちに愛されるバスクワインをたくさんの人に味わっていただきたいです」と話します。

バスクワインは、ワイナリーの数も少なくほとんどが地元で消費されてしまうため、国外に出回ることは少ないそうですが、今回のイベントでは、スタンダードなものから最新のものまで6種類のチャコリを楽しめるとのこと。バスク地方の文化や豆知識などをまじえた高橋さんの深くて楽しいお話と共に貴重なバスクワインに触れ、日本文化との共通点や違いとそれぞれの良さを見つけ、味わう時間になるはずです。

微発泡で口当たりのよい白が主流のバスクワイン。「肉にも魚にも野菜にも合う懐の深さも特徴」と高橋さん。(写真は当日提供されるワインとは異なります)

 

●伝統を知るからこそ、未来へつなげるためにできることを

今回のイベントを主催する淡交社では、これまで茶道を愛好する方々に向けて数多くの『茶事』や『茶会』などを催してきましたが、今回のイベントでは茶道になじみのない方に茶道の世界観を気軽に体験してもらいたいという思いがあるそう。
担当の石渡さんは「『茶事』や『茶会』では、懐石料理や点心でお茶席を楽しみますが、今回のイベントでは、懐石料理の代わりにフレンチを、お茶もカジュアルなスタイルで体験することで、茶道を身近に感じていただきたいと思っています」と話します。

「様々に変化していく世の中で、伝統や文化を守り、未来につなげていかなければなりません。そのためにも、様々な文化をこの鎌倉から発信していきたいと考えています」という席主・星野さんの言葉どおりの、1日限りの特別なイベント。
鎌倉の栄枯盛衰を見守り、その伝統と文化を連綿と受け継いできた古刹・円覚寺で、日本伝統の文化である茶と香り、そして様々な文化や背景をもつ料理とワインに触れるひと時は、私たち日本人の心の中にある歴史や文化と向き合い、思いを馳せる時間となるかもしれません。

 

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今回ご紹介したイベントに「渋アート」から申し込みされた方限定で、今回イベントのために特別に用意された『円覚寺如意庵の御朱印』と『円覚寺オリジナル御朱印帳』がいただけます。

 

イベントの詳細はこちらから。

【イベント】茶と香りと鎌倉フレンチ
※本イベントのお申込み受付は終了しました