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2024.08.30 UP

まち歩き

文化が薫るまち歩き-太田記念美術館編-〈原宿・神宮前エリア〉

日本有数の浮世絵専門美術館である太田記念美術館は、原宿の閑静な路地裏にたたずんでいます。原宿といえば若者の街として人気ですが、江戸時代には武家屋敷や寺院が建ち並び、今でも和の魅力をじっくり楽しむことのできるお店や施設が実はたくさんあります。その中から、美術鑑賞とセットで訪れたいおすすめの「渋い」スポットをご紹介しましょう。

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 ■ かまわぬ原宿店 

使うほどに味が出る!小粋な手ぬぐいで日本の伝統文化に触れる

太田記念美術館の正面横の階段から地下1階へ降りると、ガラス窓に飾られた小粋な和雑貨が目に入ります。こちらは、日本で古くから使われている手ぬぐいの専門店「かまわぬ」。原宿店では百数十種類もの手ぬぐいをはじめ、巾着や風呂敷など和雑貨を多数取り揃えていて、外国人観光客も多く訪れています。
手ぬぐいは通年使える「定番柄」と四季折々の風物詩をデザインした「季節柄」の2種類あり、「注染(ちゅうせん)」という江戸時代からの伝統的な染め方で手作りしています。伝統文様からモダンなものまで多種多彩なデザインに思わず目移りしてしまいますが、原宿の表通りから一歩入った閑静な立地ということもあり、ゆっくり選びながら落ち着いて買い物を楽しむことができます。日本の伝統文化として受け継がれてきた万能アイテムを、日々の暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。

伝統的な和柄だけでなく動物や食べ物、季節を感じるデザインなど、小粋なデザインの手ぬぐいがズラリ! 扇子や風鈴、日傘など季節の和雑貨もあって目移りしてしまいます。

美術館の展示企画に合わせた展開もあります。鑑賞記念のお土産におススメです!

 

 

 ■ 明治神宮御苑 

田園のような自然に癒やされる明治神宮内の散策スポット

かつて原宿とその周辺には大名屋敷や武家屋敷が並び、現在の明治神宮の社殿南側にも加藤家・井伊家の下屋敷の庭園がありました。その庭園は明治時代に宮内省の所管となり、明治神宮の創建に伴って「明治神宮御苑」と呼ばれるようになったのです。現在の御苑は明治天皇が昭憲皇太后のために遊歩庭園として整備されたもので、苑内には休憩所「隔雲亭(かくうんてい)」や茅葺屋根の「四阿(あずまや)」など簡素な小建築を配しつつ、美しい自然の中を伸びやかに散策できるよう作庭されています。
その中でも特に趣深いのは水辺のエリア。隔雲亭から見下ろす南池(なんち)や、「清正井(きよまさのいど)」の清水で育った花菖蒲が色鮮やかに咲き誇る菖蒲田などの景観は、まるで田園のよう。耳を澄ますと木々の音や鳥のさえずりが聞こえ、都会の真ん中にいることを忘れてしまいそうな心地よさです。

左)南池を見下ろす高台に建てられた数寄屋造りの木造家屋「隔雲亭」。現在の建物は1958年に再建されたものです。
右)南池に張り出したお釣台。昭憲皇太后がここで釣りを楽しまれたそうです。

 

太田記念美術館スタッフおすすめスポット①

 

■ ソラマコーヒー
太田記念美術館の向かいにある、心地よい穏やかな時間が流れるカフェ。コーヒーや紅茶の他にも、美濃抹茶と飛騨ミルクを使ったこだわりのラテがあり、日替わりの手作りお菓子もあわせておすすめです。京都の作家が手びねりで作ったカップも素敵。
※臨時休業あり。instagram(@sorama_tokyo)でご確認ください。

 

 ■ 穏田神社 

400年前から原宿を見守り続ける、美のパワースポット

今や原宿は「KAWAii」文化の発祥地として世界から注目を集める街ですが、一歩路地に入ると昔ながらの風景やスポットが残っています。キャットストリート裏の住宅街にひっそりたたずみ、創建から400年以上を通じて地域に密着してきた「穏田神社」もその1つです。
こじんまりとした境内には原宿の喧騒から信じられないほどゆったりとした時間が流れ、地域に根づいた神社ならではの落ち着きと相まって、穏やかな気持ちで参拝できます。美容・技芸上達・縁結びの神様を祀っていることから美容関係など女性の参拝者が多く、やさしいタッチのイラストが魅力的な月替わりの御朱印も人気です。宮司の船田睦子さんは地域の人々と神社をつなぐためさまざまな取り組みをされていて、今年5月にはフィトテラピー(植物療法)ワークショップを境内で開催し好評を博したそうです。

左)1885年に熊野神社から旧第一鳥居とともに移設された手水石。横側に前田家の家紋「梅鉢」が彫られています。
右)2024年5月に境内で開催したフィトテラピーワークショップの様子。宮司がフィトテラピーの基本から梅雨時期にかけての心と体のケアのポイントをレクチャーした後、参加者がハーブティーのブレンド作りと精油をブレンドしたロールオン作りを体験しました。ワークショップは今後も定期的に開催予定だそうで、ホームページやInstagram(@onden_jinjya)で告知・募集するそうです。
※ワークショップ詳細
 
https://www.instagram.com/p/C76DjNNPQsT/?img_index=1(外部サイトに遷移します)

 

太田記念美術館スタッフおすすめスポット②

   

 

■ 東郷神社
受験から恋愛まで必勝祈願のために多くの人が参拝する“勝運のパワースポット”。緑が生い茂る池泉回遊式庭園があり、池の東屋に夢風鈴(夏季限定で頒布)が飾られている光景は夏の風物詩。風が奏でる涼しげな音色に耳を傾けると、暑さが和らぐような気分になります。
★太田記念美術館から徒歩約5分


 

 ■ 江戸前寿司 青山さなか 

職人が握る江戸前寿司をリーズナブルに味わえる原宿の隠れ家店

原宿は流行の最新グルメが多く集まる街としても有名ですが、日本人にとって慣れ親しんだ和食を楽しめるお店もたくさんあります。その中でも特におすすめなのが、キャットストリート沿いの雑居ビル3階に店を構えている「江戸前寿司 青山さなか」。外に看板を掲げていないためあまり目立たない、まさに隠れ家的な寿司店です。
職人が丁寧に握る江戸前寿司をランチタイムは1000円台というリーズナブルな価格で提供していて、カウンター10席とテーブル1卓5席の店内は常に満席状態。マグロ、エビ、サーモン、イクラなどスタンダードなネタの数々はどれも新鮮かつ大きく、握り具合も絶妙です。1.5人前のメニュー設定がある一方、シャリを少なめにオーダーするなど、お腹の空き具合によって分量を調整できるのも嬉しいポイント。店内の雰囲気も静かで落ち着いていて、「美味しいお寿司を食べた!」という満足感に浸ることができます。
行列のできる人気店なので、予約のうえ訪問するのが良さそうです。当日9時からランチタイムのネット予約ができます。

ビルの外に看板を掲げていないため、来店しようとして迷う人も多いのだとか。1階の八百屋さんを目印に訪れるとよいでしょう。八百屋さんの脇に3階まで上がる階段があります。

 

カウンターの中で大将が1貫ずつ寿司を握っていきます。新鮮な状態で味わえるようランチの握り寿司はすべてを一度に盛りつけず、お客さんが食べてお皿が空いていくたびに提供されます。
※ランチ予約の詳細はInstagram(@sanakajingumae)をご覧ください。


 

流行の先端を行く多様な文化を生み出し続け、刺激と活気に満ちている原宿ですが、華やかな表通りからほんの少し離れるだけで、古くから受け継がれてきた日本文化の歴史や魅力をじっくり体感できるスポットと出会うことができました。賑わいと穏やかさが隣り合わせに存在する、奥行きのある原宿の散策を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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■■スポット情報■■
*それぞれ外部サイトに遷移します*

かまわぬ原宿店〈太田記念美術館から徒歩0分〉
 東京都渋谷区神宮前1-10-10 太田記念美術館B1
 TEL:03-3401-7957
 [営業時間] 10:30~18:30
 [定休日]  月曜
 https://kamawanu.jp/

明治神宮御苑〈太田記念美術館から徒歩約10分〉
 東京都渋谷区代々木神園町1-1
 TEL:03-3379-5511(代表)
 [営業時間] 3月~10月 9:00~16:30 / 11月~2月 9:00~16:00 / 6月 8:00~17:00(土日18:00まで)
 [定休日]  なし
 [入園料(御苑維持協力金)] 500円
 https://www.meijijingu.or.jp/midokoro/gyoen/

穏田神社〈太田記念美術館から徒歩約11分〉
 東京都渋谷区神宮前5-26-6
 TEL:03-3407-7036
 [授与所受付時間] 11:00〜16:00
 [授与所定休日]  木曜
 https://onden.jp/

江戸前寿司 青山さなか〈太田記念美術館から徒歩約7分〉
 東京都渋谷区神宮前6-14-1 3F
 TEL:03-3498-3750
 [営業時間] 火曜、水曜…11:30〜15:00 / 木曜~日曜…11:30〜15:00、17:30〜22:00(ラストオーダー ランチ 15分前/ディナー 30分前)
 [定休日]  月曜
 https://www.instagram.com/sanakajingumae/ 

*2024年8月現在の情報です。
*営業時間・定休日が急遽変更になる可能性もあります。各HP等でご確認の上、お出かけください。

 

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