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2024.04.30 UP

特集

文化が薫るまち歩き -山種美術館編-〈恵比寿・広尾エリア〉

山種美術館が位置する渋谷区広尾は、江戸時代には多くの武家屋敷が集まっていた街。明治以降にそれらの跡地に世界各国の大使館や名門校の教育施設が建ち、街全体も都内屈指の高級住宅街へと変貌していったのです。こうした背景を持つ街ならではの歴史や気品を感じながら日本文化を楽しむことができる、おすすめの“渋い”スポットを歩いてみましょう。

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■渋谷氷川神社

緑豊かで静かな“渋谷最古の神社”で神聖なパワーをチャージ

かつての広尾は江戸城を中心とした扇状に広がる台地にあり、江戸時代には数々の武家屋敷や寺社仏閣が置かれていました。そうした地形の高台に鎮座するのが、景行天皇の御代に勧請(紀元後70年前後。諸説あり)されたと伝わり、江戸時代建立の一之鳥居や昭和13年(1938)築の木造社殿など由緒ある建造物が残る「渋谷氷川神社」です。

明治通りから続く木々に覆われた参道を歩いていくと、少しずつ厳かな気分が高まっていきます。そして、台地の高低差を実感させる石段を上って境内に足を踏み入れると、そこは周囲の住宅街と切り離されたかのような静寂に包まれ、心がすっと落ち着くことでしょう。また、御祭神の素戔嗚尊と稲田姫命が夫婦神であることから縁結びの神社としても知られていて、毎月15日(いいご縁の日)限定の縁結び御朱印も人気となっています。由緒ある渋谷最古の神社で御神気を浴びてパワーを頂き、さらに良縁や夫婦円満も祈願してはいかがでしょうか。参道の途中の氷川の杜公園内にある、江戸時代に奉納相撲が行われていたという金王相撲跡もお見逃しなく。

左上)拝殿。この日は参拝者も少なく、静かでひっそりとした境内は都会の真ん中とは思えない雰囲気でした。
 右)参道の石段を上っていると、凛とした気持ちになります。
左下)普段は柵で囲われていますが、大相撲の木瀬部屋力士が参加する朝稽古などのイベントも行われている現役の土俵です。

■白根記念渋谷区郷土博物館・文学館

変わりゆく渋谷の歴史に触れながら街の新しい魅力を発見

今や最先端の流行発信地として知られる渋谷ですが、長い歴史の上ではごく最近のこと。昔の渋谷はどんな姿で、どんな“渋谷らしさ”があったのでしょう?

そうした知的探求心に応えてくれる施設が「白根記念渋谷区郷土博物館・文学館」です。常設展エリアは博物館と文学館の2フロア。博物館では原始・古代から現代までそれぞれの時代における渋谷の生活・文化・社会を物語る資料が展示されていて、渋谷にもこんな時代があったのね!となかなかの見ごたえです。縄文土器や江戸の道具に実際に触れたり、昭和初期の住宅を再現したスペースに靴を脱いで上がることができる展示もあり、時代ごとの文化をより体感的に知ることができるのも楽しいポイント。

一方の文学館では、国木田独歩や与謝野晶子ら渋谷ゆかりの文学者たちの資料を、渋谷に住んでいた順に紹介。その人数の多さに、“文学の街”としての渋谷の一面に触れることができます。こうした渋谷の歴史を多角的に知ることによって、きっと来館前と来館後で街の見え方が変わることでしょう。

左)入口ではハチ公がお出迎えしてくれます。
右)同潤会代官山アパートを再現したコーナー。畳の上で休んでいると、気分は昭和にタイムスリップ。

左・右)文学館では作家の直筆原稿や手紙も展示されています。

■写真集食堂 めぐたま

約6000冊の写真集に囲まれて頂く“日本のおうちごはん”にほっこり

山種美術館から駒沢通りの坂をほんの少し下ると、大きなガラス窓が入った木造建築が見えます。その1階にあるのが、子供の頃からごはんをふるまって作るのが好きな おかどめぐみこさん、その友人でアーティストのときたまさん、写真評論家の飯沢耕太郎さんの3人で運営する「写真集食堂 めぐたま」。「体が喜んで、元気になる料理を作って食べてもらうのが何より嬉しい」というおかどさんの思いがこもった、和洋問わない“日本のおうちごはん”を頂くと、柔らかな木の温もりが感じられる店内の心地よさと相まって、ほっこりとした気分になります。さらにこのお店の大きな特徴が、丈夫な集成材を組み合わせた壁一面の本棚に並んでいる、飯沢さん所蔵の写真集(その数なんと6000冊以上!)。国内外の写真家による自然・風景・文化などさまざまなテーマの写真集を自由に閲覧できます。さらに、ときたまさんが「自分たちも面白いと思えるもの」という観点から企画している、「落語と江戸料理の会」などのイベントもユニークで、何度でも訪れたくなります(イベント情報はHPまたはFacebook参照)。

 上)広々とした店内には、天井まで壁一面にぎっしりの写真集!
左下)「身体に美味しい文化講座」は様々なテーマで定期的に開催されていて、他にもクンダリーニヨガやサイエンスカフェなども。
右下)人気の「季節の一汁三菜ランチ」は毎日食べたくなる美味しさ。夜は旬の食材を使った豊富な一品メニューとお酒も楽しめます。

■明治通りの桜並木

都心の大通りでは珍しい鮮やかな桜並木で日本の春を感じる

お花見スポットといえば公園や川沿いなど比較的自然の多いエリアが一般的ですが、広尾にも都心ならではの桜の名所があるのをご存じでしょうか。恵比寿駅から山種美術館へと向かう途中で横断する明治通りには、渋谷橋交差点から天現寺橋交差点(広尾)まで約1kmの道沿いにソメイヨシノなど桜の木が植えられていて、春になると美しい花が一斉に咲き誇ります。綺麗な桜並木を眺めながらぶらぶら歩くだけでも心が安らぎます。歩き疲れたら道沿いのカフェやレストランで休憩し、テラス席や窓際の席から桜をぼんやり眺めるのもおすすめです。さらに、渋谷橋交差点から渋谷方面の並木橋交差点までの道沿いには、風流なしだれ桜が並んでいます。体力に余裕があればぜひ足を延ばして、日本の春を存分に感じる時間を過ごしてみてください。

渋谷橋交差点の陸橋からみた桜並木。訪れた際は葉桜になっていましたが、若葉の萌黄色と花の桜色のコントラストが美しく、歩道に散った花びらが絨毯みたいで、心が和むお散歩になりました。来年の桜の時期がまた楽しみです。
(2024年4月12日撮影)

都内屈指の高級住宅街というイメージが強い広尾ですが、じっくり歩いてみると、古から続く歴史や日本らしさを感じられるスポットと出会うことができました。文化が薫る恵比寿・広尾エリアで山種美術館のアートともに、今回紹介したスポットをぜひ巡ってみてください。

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■■スポット情報■■
*それぞれ外部サイトに遷移します*

渋谷氷川神社〈山種美術館から徒歩約6分〉
  東京都渋谷区東2-5-6
  TEL:03-3407-7534
  [営業時間] 境内24時間(社務所9:00~17:00)
  [定休日] なし
  http://www.tokyo-jinjacho.or.jp/shibuya/3272/

 

白根記念渋谷区郷土博物館・文学館〈山種美術館から徒歩約6分〉
  東京都渋谷区東4-9-1
  TEL:03-3486-2791
  [開館時間] 9:00~17:00(最終入館16:30)
  [入館料] 一般:100円、小中学生:50円
  [定休日] 月曜日(休日の場合はその直後の平日)・年末年始
  https://shibuya-muse.jp/

 

写真集食堂 めぐたま〈山種美術館から徒歩約3分〉
  東京都渋谷区東3-2-7-1F
  TEL:03-6805-1838
  [営業時間] 12:00~22:00(ラストオーダー21:00)
  [定休日] 月曜日・祝日
  https://megutama.com/

 

明治通りの桜並木〈山種美術館から徒歩約8分〉
  明治通り(渋谷橋交差点~天現寺橋交差点)

 

*2024年4月現在の情報です。
*営業時間・定休日が急遽変更になる可能性もあります。各HP等でご確認の上、お出かけください。

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