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2026.03.17 UP

展覧会

【展覧会レポート】
太田記念美術館「表装 ―肉筆浮世絵を彩る」

喜多川歌麿や葛飾北斎、歌川広重の代表作など、およそ15,000点の浮世絵のコレクションから、厳選した逸品を展示している太田記念美術館

2026年3月29日(日)まで開催中の「表装 ―肉筆浮世絵を彩る」は、絵画に加えて、掛軸の布地やデザインにも注目する世界初の展覧会です。掛軸をまるごと味わう面白さや、作品の見どころをご紹介します。

 

■表装とは?—作品をより美しく飾るためのデザイン

 

古山師重《隅田川両国橋之景》。両国橋を中心に、老若男女が行き交う情景が描かれています。

「表装」とは、絵画・書を保存し、より美しく飾るために、裂地(きれじ)や紙で掛軸・巻物などに仕立てること。本展を監修した濱村繭衣子さんによると、肉筆浮世絵の表装は、ほかのジャンルに比べて自由度が高いのが特徴だそうです。浮世絵が好きな方はもちろん、テキスタイルデザインに興味がある方も楽しめる展覧会です。

注目作品のひとつ、古山師重《隅田川両国橋之景》は、絵画の上下にあしらわれた、鮮やかな青色の布地が目を引きます。近くに寄ってみると、刺繍で表現された水鳥の姿が。

古山師重《隅田川両国橋之景》中廻し(ちゅうまわし)の部分。実際の都鳥(みやこどり)とは特徴が異なりますが、「隅田川といえば都鳥」というイメージから、この布地が選ばれたのではと想像が広がります。

このように、作品の印象をより豊かにしたり、飾る人の遊び心にふれたりできるのが、表装の魅力です。

 

勝川春章《花魁図》。遊女がまとう打掛と合わせて、表装に孔雀の羽根模様があしらわれています。作品の柄と一致させるために、特別に作られた布地なのではないかと思えるほど、こだわり抜かれたデザインです。

 

歌川国貞《七代目市川団十郎の暫》。市川団十郎家の定紋三升がさりげなく施されており、歌舞伎ファンの方必見の逸品です。

 

 

作品の見どころを解説するキャプションが、展覧会に合わせて掛軸のデザインになっているのも見逃せません。

 

肉筆浮世絵の魅力を引き立てる、表装の奥深い世界。絵画だけでなく、細かい装飾に目を向けると、作品をより深く味わうことができます。ぜひ本展に足を運び、浮世絵と表装の共演を体感してみてくださいね。

取材・文:浜田夏実

 

□3月29日(日)まで開催中!

太田記念美術館「表装 ―肉筆浮世絵を彩る」
会期:2026年3月6日(金)~3月29日(日)
展覧会の見どころや開催概要はこちら

\渋アートスタッフが体験!/
みる・まなぶ・ふかめる―太田記念美術館・スライドトーク―
次回のスライドトークは3月24日(火)に開催されます。ぜひご参加ください!