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2024.03.12 UP

[report]
WEB写真展<まなざし>の制作秘話を語る〈後編〉

引き続きWEB写真展<まなざし>に関わってくださったお三方に話を伺っていきます。

前編では、それぞれのキャリアや役割の目線で子どもたちの「写真」や「言葉」とどのように向き合ってきたのかをお聞きしました。後編では、WEB写真展<まなざし>の制作について伺っていきます。

番外編として、2023年11月に大日向中学校で行われた、子どもたちが主催の写真展『ぼくらの写真展 Street snap 渋谷×佐久』についても触れていますので、どうぞ最後までお楽しみください。

こちらは【探究型・芸術体感プログラム】大日向中学校×Bunkamura WEB写真展<まなざし>の制作秘話を語る〈後編〉です。
◆大日向中学校×Bunkamura WEB写真展<まなざし>の制作秘話を語る〈前編〉はこちら >

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WEB写真展<まなざし>について

── ようやくWEB写真展<まなざし>のWEBサイトが出来上がってまいりましたが、実際にご覧になっていかがでしたか?

大日向 関:見せ方がすごい新鮮で、楽しませていただきました。拡大していって、時々言葉が挟まっているので『ソール・ライター展』のことも思い出しました。子どもたちの言葉がすごく印象的で、なんか響き合っている感じがとても楽しかったです。単純にかっこいいなと思って見ていました。

柿木原:結果的に、写真が近づいてくることで自分たちが移動してるかのように見えるという手法が見つかったのは、大きかったです。ただ単にWEBサイトを見る体験とは違うような在り方をしないと、コンテンツが成立しないだろうなと思っていました。WEB上で“間(ま)”が作れたことは発見でした。

Bunkamura:そうですよね。今回はイメージ実現のため、WEB制作チームの皆さんも頑張ってくださいました。

 

WEB写真展<まなざし>のタイトル背景写真のひみつ

── 実は、WEBサイトを更新するとトップの写真は3点の中からランダムに表示されるようになっています。こちらの写真は、かくたさんが佐久穂町で撮影された写真の中から、柿木原さんに選んでいただいたんですよね。その時のお気持ちを聞かせください。

柿木原:かくたさんの写真が「あなたたちが住んでる場所、こんなに魅力的よ!」って言っているような写真だったので、子どもたちが普段の生活で見ている場所が、かくたさんのまなざしを通すとこんな風に見えるんだと気づける3カットを選んだつもりです。かくたさんの“まち”への思いというか、愛情みたいなものがにじみ出ている感じになったので、すごく良かったなと思いました。

かくた:はい、ありがたいです。実は町をちょこちょこ散策して色々撮ったのですが、ちょうど選んでくださったのが学校の敷地内の写真でした。普段子どもたちが見ている景色が選ばれたので、良かったなと思っています。

 

写真展<まなざし>の鑑賞者へ

── 本日はお集まりいただきありがとうございました。最後にひとことずつ感想やメッセージをお願いいたします。

大日向 関:まず、学校でここまで長い期間をかけて1つの単元をやること自体が無いです。かくたさんのワークショップから始まり、渋谷に行って撮影して、子どもたちの手で展覧会を作って、そしてWEB写真展が完成して。私も含めて、正解や終わりの形が見えない状態で学びを作っていくのが新鮮だったし、だからこそ子どもも一緒に考えて、フラットに作っていくことができた。WEB写真展<まなざし>を通して、楽しんで作った結果を見ていただけたらと思います。

かくた:WEB写真展だから写真を見る用なんですけれど、写真の間に出てくる言葉をすごく楽しく選ばせてもらったので、ぜひそれにも注目してください。子どもたちの言葉が面白い!

柿木原:今回は、Bunkamuraオープンヴィレッジの枠のなかで、子どもたちと先生とプロが集まった1つのプロジェクトでしたが、企業がこのような活動をすること自体が新鮮というか、いいなと思いました。子どもたちが面白がっていることを表現する時に、大人たちも一緒になって面白がれるか。自分も楽しかった感覚があるので、このプロジェクトに関わるみんなの熱量が、やっぱり良かった。それに対して子どもたちがしっかりと返してくれて。いい響き合いというのは世代間の中でも生じるんだなと思いました。

Bunkamura:皆さんのお話を伺って、写真を撮った子どもたちの目に今回のWEB写真展<まなざし>がどのように映るのか、鑑賞した方々がどのような反応を示されるのか、ますます楽しみになりました。

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【番外編】子どもたちが開催した『ぼくらの写真展 Street snap 渋谷×佐久』写真展について

── 2023年11月に大日向中学校の生徒主催で『ぼくらの写真展 Street snap 渋谷×佐久』と題して、学校内でオリジナル写真展を開催しましたよね。関さんとかくたさんはその時の様子も見ていますが、いかがでしたか?

大日向 関:子どもたちは写真を楽しんでいる感じがあった。いい写真を撮りたいなとか、自分の狙ったイメージの写真にしたいなというのは感じるんですけれど、良く見られたい感じは全然なくて。だから、写真展にした時もいい写真がいっぱい並んでいました。中学生が撮って「すごいね」や「子どもがやったことだから」ということではなく、写真展として純粋に楽しんでもらえた印象を受けました。それがすごく嬉しかったところなんですよね。写真展そのものをいろんな人が「いいね!」と言ってくれるのが良かったです。

かくた:そうですね。展示を見に行かせてもらったのですが、やっぱりすごく良かったです。大日向中学校の廊下や教室、いろんな場所にちりばめて展示していて。子どもたちが考えた展示の構成も良かったです。

大日向 関:会場もどこにするか二転三転あったんですけれど、やっぱり校内を使うことになりました。本当に子どもたちが、いろんなアイディアを出してくれて。「写真に生徒の名前やタイトルがあると、そこに引きずられるんじゃないか」や「誰が撮ったみたいなのを抜きにしてやりたい」と言っていたけれど、後から「やっぱり名前は分かるように、配れる一覧表を作ろうか」となったり…。最初はあまり気にせずに写真を貼っていたけれど、結構斜めになってしまい、改めて見た時に「これ、かっこ悪いよね」となり、水平器を借りてきて写真の距離もちゃんと測って、もう1回作り直したんです。そういうクオリティを上げるための子どもたちのこだわりが、見ていて頼もしかったです。

Bunkamura:『ぼくらの写真展 Street snap 渋谷×佐久』は、好評で展示期間を延長したんですよね。

大日向 関:そうなんです。彼らの中で新鮮だったのは、写真を受けとって解釈してくれる人がいるということ。中学生はそういう機会はほとんどなくて。自分の写真で心が動く人がいるとか、何気なく撮ったものが、なぜか好評価されて戸惑う子も。発信する人と受け手、表現と解釈の関係性を体感できたことは、彼らにとっても、いい時間だったんじゃないかな。

Bunkamura:そうだったんですね。ぜひ、子どもたちの写真をたくさんの人に見ていただきたいですね。

長野の中学生は、カメラレンズ越しに【まち】をどのように見つめたのか。

【探究型・芸術体感プログラム】大日向中学校×Bunkamura WEB写真展<まなざし>こちら >
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◆大日向中学校×Bunkamura WEB写真展<まなざし>の制作秘話を語る〈前編〉はこちら >

◆WEB写真展開催準備レポートはこちら >

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