ヴェルディ:オペラ『オテロ』(演奏会形式)全4幕(原語上演・字幕付き)

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2017.08.28 UP

「はじめての演奏会オペラ ~イタリア・オペラ編~」8月26日 ワークショップレポート!


暑さの続く8月26日土曜日、「はじめての演奏会オペラ」第1回ワークショップが文京シビックホール・レクリエーションホールにて開催された。
会場に続々と集まる小学校1年生から高校生までの40名。音楽の授業以外での合唱は今回が初めて!という子もいれば、オペラ歌手になりたい!と熱く語る子もいるなど様々だ。

講師の村上は軽快なシャツ姿で登場。
最初にホワイトボードにイタリアの地図を書いて「なにに見える?」。
あちらこちらから「靴!」「足!」と元気な声が上がる。「そうだね、足とか、長靴みたいな形。」
まずはイタリアという国に、どんな場所があるのかを子供達に説明していく。
「ここはスカラ座という、世界でもとても有名なオペラハウスがあるミラノ。ここがロミオとジュリエットの舞台になったヴェローナ…」と、先ほど書いた地図でなく自分の足をイタリアに見立ててよろめきながら説明する村上に子供達から笑いが起きる。

イタリアの形や風土、ヨーロッパの中の位置を大まかに把握したところで、挨拶のイタリア語をレクチャー。
まずは、「Ciao!:チャオ!」と朝夕問わず使える明るいトーンの挨拶から始まり、”Buon giorno:ブォンジョールノ””Grazie:グラーツィエ”、と村上がホワイトボードにスペルを書くと、書き終わるのを待たずに「Buon giorno!」と声が上がる。子供達もイタリア語を声に出してみたくてたまらないようだ。
「9月9日にバッティストーニさんに会ったときには、皆で"Buon giorno!マエストロ・バッティストーニ!"と挨拶して。とっても喜ぶと思うよ」と村上。ひとことの挨拶でも、外国語を声に出して、伝わったときの喜びは格別。このワークショップを通じて子供達がそういった体験をしてくれるといい。

イタリアについてのレクチャーが一段落、いよいよ歌の時間となった。
「オペラを見たことがある人は?」という質問には半数近くの子供達が手を挙げ、これには村上も驚いた様子。早速、「歌」について説明をする。
「歌うというのは、お芝居をすること。みんなには合唱をしてもらうけど、合唱は体を動かしてお芝居をするわけではないから、実はとっても難しいんです。」
出てくる声だけでなく、その声を出すときに息を吸うところから、お芝居が始まっているという村上。
全員で<楽しいことを想像して息を吸う><悲しい気持ちで息を吸う><怒って息を吸う>という3パターンで声を出し、感情を歌に乗せる極意を体感させた。

さらに、歌いながらジャンプをしたり、お腹をたたいたりして横隔膜を意識させ、おなかの支えの重要性についてレクチャー。「呼吸の芸術」とも呼ばれる歌の世界を親しみやすく伝えてウォームアップを終えた。

子供達の手元には、デンツァ作曲「フニクリ・フニクラ」、ヴェルディ作曲『ナブッコ』より「行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って(Va pensiero)」の楽譜が配布され、まずは「フニクリ・フニクラ」を村上が一度歌ってきかせたあと、フレーズごとに練習。1番は日本語の歌詞ということもあり、あっというまに子供達は村上との掛け合いをこなし、即興での振り付けも交えてリラックス。

2番ではいよいよイタリア語に挑戦。村上の後について発音を繰り返し、リズムに乗せて何度か声に出した後にメロディに乗せて歌ってみる。
ここでも村上は子供達の発音の良さに驚いていた。とても耳が良く、まるでイタリアの子供が歌っているようだ。
「ちょっと高い音があるから、出せる人は歌ってね」と言うと間髪入れずに「出るよ!」とあちこちから声が。どうやら難しい課題のほうが子供たちの心に火がつくものらしい。

「フニクリ・フニクラ」を通して歌った後は、「Va pensiero」に取り組んだ。
「イタリアの第二の国家とも言われる歌。日本でいえば"ふるさと"みたいに皆が歌えるんです」と説明を受けて同じく発音から挑戦。
この曲では、クレッシェンド、ディミヌエンドや、スラーの中のアクセントの扱いなど、楽譜の中の音楽記号にも注目し、音楽性を高めていく。
前半にじっくりと取り組んで、本日のワークショップは終了となった。

最後には、村上からサプライズ・ミニ・コンサートのプレゼント!
「七つの子」を情感たっぷりに歌い、ヴェルディ「リゴレット:女心の歌」を子供たちの間を練り歩きながら熱唱。間近で感じるテノールの迫力に子供たちも圧倒され、惜しみない拍手を贈っていた。

子供たちの声は伸びやかでみずみずしく、村上の指導を経てバッティストーニ指揮のもと、オーチャードホールのステージでどのような歌を聴かせてくれるか、とても楽しみである。

 

写真:上野隆文