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3回目を迎える 奇跡のガラ公演

エトワール・ガラ2010

2010年7月28日(水)~8月1日(日)

Bunkamuraオーチャードホール

トピックス

マチュー・ガニオ インタビュー

エトワール・ガラには二度目の出演となるマチュー・ガニオ。前回の公演に参加したことで、ダンサーとしての意識に変化があったという。

「僕たちダンサー自身がすべてオーガナイズする公演という形式も初めてだったし、いい刺激を受けたことは確かです。あれ以来、『今度エトワール・ガラで踊るには、どんな作品がいいかな』と作品を探す癖が自然について、いろいろな振付や作品に興味を持つようになりました」

 今回もダンサー全員でアイディアを持ち寄り、ディスカッションした。

「みんながそれぞれ踊りたいものをエントリーするんだけど、踊りたかったものでも、他のダンサーが踊ることになったり、逆にみんなに「マチューはこれを踊るべき!」と勧められたり。そうやって新しい作品との出会いを与えてもらえるし、それが自分自身の発見にもなります」

 新しい出会いといえばあっと驚かされたのが、マリインスキー・バレエのエフゲーニヤ・オブラスツォーワの参加。「エトワール・ガラ2010」のためにカンパニーを超えての共演が実現する。

「みんなが彼女とは合うと思うと言ってくれるし、僕自身もすごく楽しみにしています。二人とも踊りたかったマクミラン版の『ロミオとジュリエット』を踊ることになりました。
 ロシアのダンサーは皆さん優しくて、おごり高ぶるところがない。いい関係が築ける人たちですが、相手が誰であっても、いいパートナーシップを保つためには、常に自分をオープンにして、相手に対する尊敬を持つことが大事だと思う。正直言うと、やっぱり気が合う/合わないもあるし、芸術的な相違があると難しいのも事実ですが、でも僕たちはプロですから、舞台の上では素晴らしいものを皆さんに届けるためにベストを尽くしています」

 容貌、繊細で甘いダンススタイル共にベスト・マッチと思われるオブラスツォーワとなら、いい関係が築けるだろう。二人がつむぎだす甘酸っぱい初恋のときめきが、観客の心をぐっとつかんでしまいそう。
 もう一つの大きな話題が、世界初演となる「三銃士」。巨匠ピエール・ラコットがこのガラのためにオリジナルで作品を作っている。

「最初は小さな作品の予定だったのに、皆が「出たい!出たい!」って言うので、40分くらいの大作になったんですよ。僕の役はなんとルイ13世、奥さんに浮気されちゃう王様なんです。配役を見て笑っちゃいました。ひげをつけて、大きな鬘と王冠もつけちゃおうかな…、なんていうのは冗談ですが、きっとまた新しい僕に出会えると思います。楽しい作品になるはずなので、楽しみにしていてくださいね。」

エトワールとなって6年目、さまざまな出会いの中でぐんぐん成長しているガニオが、さまざまな顔を見せてくれるだろう。

文:守山実花(バレエ評論家)
写真:大久保惠造