2007年ROF新演出上演作品
全3幕 イタリア語上演(日本語字幕付き)
台 本:フランチェスコ・ベリオ・ディ・サルサ
初 演:1816年12月4日、フォンド劇場(ナポリ)
オテッロ(ムーア人でヴェネツィア共和国の将軍)・・・グレゴリー・クンデ(テノール)
デズデーモナ(その妻、エルミーロの娘)・・・イアノ・タマール(ソプラノ)
エルミーロ(ヴェネツィアの貴族)・・・ミルコ・パラッツィ(バス)
ロドリーゴ(デズデーモナに失恋した総督の息子)・・・ブルース・スレッジ(テノール)
ヤーゴ(オテッロに敵意を抱いている将校)…フェルディナント・フォン・ボトマー(テノール)
エミーリア(デズデーモナの侍女)…マリア・ゴルツェフスカヤ(メゾ・ソプラノ)
ルチオ(オテッロの家来)、ゴンドラ漕ぎ…エンリーコ・イヴィッリア(テノール)
総督(ヴェネツィア共和国の総督)…コジモ・パノッツォ(バス)
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ヴェネツィアの将軍オテッロがトルコとの戦闘から凱旋。総督は褒美に市民権を与えるが、オテッロが本当に望むものは父親の反対に隠れて密かに結婚した元老院エルミーロの娘デズデーモナだった。将校ヤーゴはオテッロに嫉妬し、総督の息子でロドリーゴはオテッロの恋敵だった。ロドリーゴは自分の思いに彼女が応えて欲しいとエルミーロに懇願する。それを聞いていたヤーゴは、ロドリーゴに近づきデズデーモナの手紙を見せる。彼女がムーア人のオテッロを選んだことで、彼女に恋慕していたヤーゴの心も憎しみに変わったのだ。デズデーモナはオテッロに宛てた恋文が父エルミーロの手に渡ったことを心配する。エルミーロはその手紙がロドリーゴに宛てたものだと勘違いし、ロドリーゴに「娘の結婚相手にあなたを選ぼう」と約束する。
エルミーロは人々の前でロドリーゴに娘を娶らすと宣言、当惑したデズデーモナは反論しようとする。オテッロは驚き、エルミーロは娘を叱責し、ロドリーゴとオテッロは対決する。
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ロドリーゴはデズデーモナに言い寄るが、彼女は「既にオテッロと結ばれた」と告白。失望したロドリーゴは彼女を諦める。一方、デズデーモナがロドリーゴを愛しているのではないかと疑って苦悩するオテッロに、ヤーゴが例の恋文を「ロドリーゴに宛てたものだ」と言って見せる。ロドリーゴはすでに復讐心を捨て、デズデーモナへの愛のためにオテッロと和解しようとするが、嫉妬に狂ったオテッロは彼に決闘を申し込む。仲裁に入るデズデーモナを振り払って二人は決闘へ向かい、デズデーモナは気を失う。流血をみることなく決闘は終わったという知らせを聞いて、デズデーモナは喜ぶが、父は彼女を激しく非難する。
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デズデーモナはエミーリアに苦悩を打ち明け、愛のために死んだ友人を思い出して悲しげな歌を歌う。風が嵐を告げ、デズデーモナに不吉な予兆を呼び起こす。オテッロが短剣を持ってデズデーモナの寝室に忍び込み、不貞を責める。デズデーモナは無実を訴えるが、怒りに狂ったオテッロはロドリーゴを殺すようヤーゴに命じたと言って彼女を殺してしまう。家来のルチオが、決闘で傷ついたヤーゴが全て自分の企てだと告白したと知らせに来る。エルミーロとロドリーゴも駆けつけるが、時既に遅く、オテッロはデズデーモナの死骸を示し、自害する。
「オテッロ」/特別コンサート
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演出:ジャンカルロ・デル・モナコ
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ヴェネツィア生まれ。1964年にシラクーザの歌劇場で父である名テノール歌手マリオ・デル・モナコ出演による「サムソンとデリラ」で演出家デビュー。ベルリン、バルセロナ、ボローニャ、ニューヨーク、ワシントン、ミラノ、ミュンヘン、ナポリ、シュツットガルト、ローマ、トリノ、ヴェネツィアなど世界の主要歌劇場で100以上もの公演の演出を手掛けキャリアを積む。この間、シノーポリ、レヴァイン、シャイー等の世界著名指揮者と共演。1967年ヴィオッティ金賞受賞。またイタリア共和国カバリエーレ勲章、芸術文学シェヴァリエ賞、ドイツ連邦功労十字章などを受勲。
最近はニューヨークのメトロポリタン、パリ・オペラ座、パレルモ・マッシモ歌劇場、チューリッヒ歌劇場、マドリッド王立歌劇場、ライプツィヒ歌劇場、ベルリン国立歌劇場の公演を手がける。多くの作品がDVD収録されている。ペーザロ・ロッシーニ・オペラ・フェスティバルには2007年「オテッロ」でデビューした。父親は不世出のテノール、マリオ・デル・モナコである。
オテッロ
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現在はベルカントのテクニックを保ちながらリリコ、もしくはリリコ・スピントの役も歌える貴重なテノール。フランス・オペラのレパートリーも広く、ベルリオーズの「トロイ人」(エネー)はJ・E・ガーディナー指揮でDVD化され、グラモフォンの2005年DVD・オブ・ザ・イヤーを獲得。2007/08シーズンは、ウェールズ国立オペラで「ファウストの劫罰」、ベルリン国立歌劇場で「湖上の美人」などに出演。
ペーザロ・ロッシーニ・オペラ・フェスティバルには1992年「セミラーミデ」(イドレーノ)でデビューして以来、1993年「アルミーダ」(リナルド)、1995年「ウィリアム・テル」(アルノルド)、1996年「リッチャルドとゾライーデ」(リッチャルド)、2003年「セミラーミデ」(イドレーノ)「スターバト・マーテル」、2004年「タンクレディ」(アルジーリオ)を歌っている。2007年には「オテッロ」のタイトル・ロールを歌い、輝かしい声と、カリスマ的な人物表現で圧倒的な存在感を示した。2008年は「エルミオーネ」で出演予定。
デズデーモナ
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グルジア生まれ。トビリシの音楽院で、ピアノ、音楽学、そして声楽を学ぶ。1992年のロッシーニ・オペラ・フェスティバルで、アルベルト・ゼッダ指揮による「セミラーミデ」(タイトル・ロール)で輝かしいデビューを飾る。こののち、ROFには2003年の「スターバト・マーテル」、2007年の「小ミサ・ソレムニス」(小荘厳ミサ曲)に出演。スカラ座、コヴェント・ガーデン、ナポリ・サン・カルロ歌劇場、ミュンヘン国立歌劇場など世界の主要歌劇場で活躍し、リッカルド・ムーティ、ジャンルイージ・ジェルメッティら著名指揮者と共演を果たす。
最近では、ウィーン国立歌劇場で「ウィリアム・テル」と「ドン・カルロ」、ラ・フェニーチェで「ユダヤの女」、アン・デア・ウィーン劇場で「メデーア」に出演し好評を博す。
エルミーロ
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イタリア・リミニ生まれ。最優秀でロッシーニ音楽院を卒業。フィレンツェ五月音楽祭、ナポリ・サン・カルロ歌劇場、モーツァルト「レクイエム」でトリノ王立劇場などヨーロッパの主要歌劇場および音楽フェスティバルに出演。「夢遊病の娘」、「ラ・ボエーム」、「ランメルモールのルチア」「ツェルミーラ」「ジュリアス・シーザー」(ヘンデル)、「セミラーミデ」「小荘厳ミサ」「スターバト・マーテル」「ボルゴーニャのアデライーデ」「清教徒」「運命の力」などをレパートリーとする。
2007年ペーザロ・ロッシーニ・オペラ・フェスティバルは、「オテッロ」(エルミーロ)でデビュー。今後の予定は、バーリで「ティトの慈悲」「ラ・ボエーム」、スカラ座で「ドン・ジョヴァンニ」、バイロイトおよびポツダム・サンスーシ音楽祭でカヴァッリ「ロジンダ」、バルセロナで「ポッペアの戴冠」、アテネで「清教徒」、マルセイユで「ドン・ジョヴァンニ」などに出演予定。
ロドリーゴ
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カリフォルニア生まれ。南カリフォルニア大学にて音楽を学び、2002年モンテカルロのワールド・ヴォイス・マスター・コンクール、そしてオペラリア(プラシド・ドミンゴ・コンクール)でファイナルに残る。その後はメトロポリタン歌劇場で「セビリャの理髪師」、同歌劇場パーク・コンサートで「リゴレット」、ベルリン国立歌劇場とボローニャ・テアトロ・コムナーレで「ドン・パスクワーレ」ほか多くの舞台でキャリアを積む。
ロッシーニ・オペラ・フェスティバルには2004年「エリザベッタ、イギリス女王」のレスター役で出演。2007-08年シーズンはニューヨーク・シティー・オペラの「ドン・ジョヴァンニ」、マドリッド王立歌劇場で「タンクレーディ」、バーリで「ティトの慈悲」、サンアントニオとパームビーチ・オペラで「愛の妙薬」など、多数出演。
ヤーゴ
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ペーザロ・ロッシーニ・オペラ・フェスティバルには2004年「ランスへの旅」(騎士ベルフィオーレ)、2006年にモーツァルト「第一戒律の責務」、2007年「テーティとペレオの結婚」に出演した。
エミーリア
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サンクトペテルブルグ生まれ。同地の音楽院を卒業する。1990年からマリンスキー劇ソリストとして活躍し、「セヴィリアの理髪師」に出演。カザンのシャリアピン国際フェスティバルの常連歌手として招かれる。2000年、マリンスキー劇場でゲルギエフ指揮によるプロコフィエフ「戦争と平和」「ボリス・ゴドノフ」「火の天使」「放蕩者のなりゆき」に出演。コンサートのレパートリーでは、ペルゴレージ、ヴィヴァルディ、ヘンデル、サルティ、ハイドン、モーツァルト、ロッシーニ、ショスタコーヴィッチの作品を手掛ける。ロッシーニ・オペラ・フェスティバルには2005年「ランスへの旅」(メリベーア侯爵夫人)で初登場。2006年モーツァルト「第一戒律の責務」とロッシーニ「結婚手形」(クラリーナ)、2007年「オテッロ」(エミーリア)を歌う。
合唱:プラハ室内合唱団
1990年創設。ドイツ、オーストリア、イタリア、スペイン、フランス、スイス、ベルギー、ルクセンブルク、オランダ等で海外公演を行うなど国際的に活動。また日本、オーストラリア、南アメリアでもノイマン、シノーポリ、メータ、ジェルメッティ、ゼッダら著名指揮者と共にオーケストラの海外公演に参加。セヴィリア万国博覧会、フィレンツェ、ジェノヴァ、ジュネーヴ、ウエックスフォードの歌劇場から招かれる。ペーザロ・ロッシーニ・オペラ・フェスティバルの常連で1993年から今日まで毎年出演。これまでにオペラ・コンサートで30作品以上を演奏。