その点、私たちはラッキーだったと、今改めて思う。2年前の初回は「現象」とも言える大人気に、自分も浮き足立ってしまい、毎回、感動に打ち震えていて、作品全体の細部まで見る余裕はなかったけれども、マシュー・ボーン自身、「今回の方がまとまったいいカンパニーだ」と言うだけあって、『白鳥の湖』という作品の凄さの、新たな発見がいくつもあった。特に、主要な役以外の白鳥たち。第二幕、第四幕を見れば、全部で14羽いることは誰でも気づいていただろうが、彼らが全員番号を持ち、その番号によって踊りのフォーメーションが違ってくるというのは、やはり目からウロコだったな。 |
この白鳥たちの番号、一番わかりやすいのは、第二幕で上手からジグザグに一羽ずつ登場してくる順番。あれは、ほぼ身長順だから、まず4羽の小さな白鳥を踊るダンサーたちから始まり、だんだん大きな白鳥になっていく。ちなみに、この群舞というか群白鳥(?)から短い期間に主役のザ・スワンに大出世したウィル・ケンプに、当時の番号を聞いてみたら、「う〜ん、12番だったかな」だって。確かにアダム・クーパー主演のDVDでも、ウィルは大きな白鳥の4羽のうちの1羽を踊っているから、この記憶間違っていないかも。 |
今年の公演で「白鳥たち」に目が行ったのは、第四幕で王子のベッドの下から出てくる3羽の印象が強烈だったから。これ、8,9,10番の白鳥で、中でも、中央の9番を踊るダンサーが、大ラスト、王子が息絶えるシーンで、ソロで跳び、消えていく。これが一昨年の公演の千秋楽では、2羽、つまりダブルで跳んだように見えたので白鳥たちの“母親鳥”と慕われているスタッフに確認したら、「確かにそうだった」とか。もっと秘密を言うと、8,9,10番のうち、8,9番を踊るダンサーの両方が9番を踊れる場合のみ、このダブル・ジャンプが出来るらしい。 |
というわけで、自ら「今回の8,9,10番はドリーム・チームだよ」と胸を張る3人のダンサーたち。念願のパリ公演を経て、どのくらい大きくなって日本に帰ってくるか、今から楽しみなのは、私だけ!? |