日本で行なわれる会見のために来日した、虞美人を演じるジュ・ジェジン(朱潔静)、劉邦を演じるリュー・インホン(劉迎宏)。
中国全土の観客を魅了し、パリ公演では目の肥えたダンスファンをもうならせた中国を代表するダンサーの2人だ。彼らは幼い頃から、難関と言われる上海バレエ学校で厳しいトレーニングを積み、バレエ、中国伝統舞踊、現代舞踊を学んできた。現在では、さらにそこから選び抜かれたものだけが入団できる上海東方青春舞踊団でプリンシパルとして活躍をしているエリート。それだけでなく中国全国規模のダンスコンクールで金賞を受賞していて、舞踊界きってのスター的存在である。
在籍するダンサーの中から、彼らを主役に選んだ理由を芸術監督であるチェン・フェィファ(陳飛華)は「ジュは手足が長いので、女性らしいたおやかな表現ができる。虞美人は善良で優しい心を持ち、芯の強い女性で、彼女にはそれを表現する力があった。リューはジャンプ力が素晴らしいダンサーで、お客さんは彼のジャンプを見た時にとても気持ちがよく、それは鑑賞するに値するものだと思う。劉邦という複雑な人物を表す表現力とエネルギーが彼にはある」と語る。このチェンの言葉は、彼らが上位の“職称”(※)を取得していることでも裏付けられる。そんな2人が今回の『覇王 別姫』にかける思いや、ダンスの秘密などを語ってくれた。動画でたっぷりとお楽しみを!
職称−−−国家認定試験で与えられる。1〜5級までで、5年に一度だけ試験を受けることが可能。劉は3級から飛び級で、教授クラスにあたる1級を取得。朱は弱冠20歳にして2級を申請中。
text by 山下由美(フリーライター)
ジュ・ジェジン インタビュー 
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18歳のときに虞美人役に抜擢されたジュ・ジェジン。役作りの過程や苦労したこと、好きなシーンなどをお聞きしました。
リュー・インホン インタビュー
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上海東方青春舞踊団ではリーダー的存在のリュー・インホン。劉邦役についてや、役作りの過程、好きなシーンなどをお聞きしました。

ジュ・ジェジン(朱 潔静) 虞美人役/上海東方青春舞踊団 プリンシパル
1985年、浙江省嘉興市生まれ。95年(10歳の時)、上海バレエ学校入学。中国舞踊(中国伝統舞踊・中国民族舞踊ほか)をはじめ、クラシック、モダン・バレエほか様々な舞踊表現を学ぶ。可憐な容姿としなやかな肢体、そして表現力の豊かさで期待を集め、2000年卒業後、上海東方青春舞踊団に入団。03年「覇王別姫」の虞美人役に抜擢され、本作品で中国全国規模の“蓮花賞”全国舞踊コンクールで優秀女性主演賞を受賞した。第5回上海芸術祭、第7回中国芸術祭や中仏文化年のクロージングセレモーとしてパリ・シャンゼリゼ劇場での「覇王別姫」公演でも虞美人役で出演し、注目を集めた。


リュー・インホン(劉 迎宏) 劉邦役/上海東方青春舞踊団 プリンシパル
1976年、浙江省温州市生まれ。89年(13歳の時)、上海バレエ学校入学。中国舞踊(中国伝統舞踊・中国民族舞踊ほか)をはじめ、クラシック、モダン・バレエほか様々な舞踊表現を学ぶ。均整のとれた肉体と切れ味鋭い身のこなし、そして確かな技術と表現力を併せ持ち、95年卒業後、同年、上海東方青春舞踊団に第一期生として入団。プリンシパル・ダンサーとして活躍する。同舞踊団のオリジナル作品、舞劇「ゼブラ」で主演、03年「覇王別姫」では劉邦役のオリジナルキャストとして出演、本作品で中国全国規模の”蓮花賞“全国舞踊コンクールで最優秀男性主演賞を受賞した。第5回上海芸術祭、第7回中国芸術祭や中仏文化年のクロージングセレモーとしてパリ・シャンゼリゼ劇場での「覇王別姫」公演でも劉邦役で出演し、男性ダンサーの中でもひときわ目を引く存在として注目を集めた。


リュー・シカイ(劉 時凱) 項羽役/ゲスト・ダンサー、北京友誼歌舞団 プリンシパル
覇王・項羽を表現できるパワーとエネルギーを持ち、背が高く、皇帝を演じるにふさわしい恵まれた体格のリュー・シカイ。本作品の演出・振付を手がける趙明自らの意向でオリジナルキャストに配役された。
1978年、江西省南昌市生まれ。92年(14歳の時)、解放軍芸術学院舞踏科入学。中国舞踊(中国伝統舞踊・中国民族舞踊ほか)をはじめ、クラシック、モダン・バレエほか様々な舞踊表現を学ぶ。卓越したテクニックと表現力で注目を集め、97年卒業後、中国全土からトップレベルのダンサーたちが選抜される北京友誼歌舞団に入団。中国全国規模の”蓮花賞“全国舞踊コンクールで金賞を受賞した同団所属の振付家・趙明の作品などに出演、03年「覇王別姫」の項羽役には、本作品で演出・振付を手がける趙明自らの意向でオリジナルキャストに配役され、ゲスト・ダンサーとして参加。本作品で”蓮花賞“全国舞踊コンクールで優秀男性主演賞を受賞、絶賛された。
舞台写真©下坂敦俊


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