
デンマークデザインの傑作、一堂に紹介
ハンス・ウェグナー(1914-2007)は、ミッドセンチュリー期のデンマークデザインの範疇にとどまらず20世紀の家具デザイン史における代表的な存在として語られています。代表作である《ザ・チェア》(1949)や《Yチェア》(1950)は高い人気を誇り、多くの人が目にしたことがあるでしょう。家具職人として類まれなる才能と素材に対する深い洞察を併せ持つウェグナーは、生涯で実に500脚以上の椅子を世に送り出しました。
本展は、世界的な椅子研究家であり北欧を中心とした近代家具のコレクターでもある織田憲嗣氏のコレクションを有する北海道東川町の協力を得て、椅子約160点、その他家具などを一堂に集めた、国内でかつてない規模のウェグナー大回顧展となります。デザイン界の巨匠と目され、今日まで愛され続けるウェグナーの魅力とは何か。世界で活躍する建築家・田根剛氏(ATTA)による会場構成のもと、豊富な作品群と関連資料を通してその功績とデザイン哲学を振り返ります。
ハンス・ウェグナー展 4つの見どころ
POINT1国内過去最大規模となるウェグナー大回顧展
織田コレクションから、体系的に収集された椅子約160点とその他家具をご紹介。ウェグナーの92年の生涯を紐解きます。
POINT2幻の椅子 ファーストチェアを復刻展示
ウェグナーが17歳の時に手掛けた《ファーストチェア》、3脚のみ製作された初期作《セカンドチェア》を再現復刻。若き日のウェグナーの2つの意欲作を、会場でぜひ間近にご覧ください。
POINT3名作椅子の舞台裏 製作過程から哲学に迫る
20点余りの原寸図面やワーキングモデル(製作途中のモデル)などの関連資料を通して、それぞれの椅子の製作背景とデザインの要点を紐解きます。
POINT4座れる椅子コーナー デザイン性、そして機能性にも妥協のない椅子
ウェグナーの椅子を製造販売しているPPモブラー社、カール・ハンセン&サン社の現行モデルに座れるコーナーが出現。目と手、そして体全体で名作椅子を体感することができます。
ハンス・ウェグナーとは
ハンス・ヨルゲンセン・ウェグナー(Hans Jørgensen Wegner)。1914年、デンマークとドイツの国境の町トゥナーに生まれる。18歳で家具職人の資格を取得し、1938年ごろからデザイナーとしての活動を開始。1940年、アルネ・ヤコブセンとエリック・モラーが担当するオーフス市庁舎の建築プロジェクトに参加し、家具デザインを手がける。以降ヨハネス・ハンセン社をはじめ様々な家具メーカーと協働し、ミッドセンチュリー期を中心に多くの名作椅子を世に送り出した。素材に対する深い洞察と職人技に基づく独創的なデザインで今日まで国際的に高い評価を受けている。
ハンス・ウェグナーをめぐる人物相関図
織田憲嗣氏プロフィール

椅子研究家・東海大学名誉教授。1946年高知県生まれ。高島屋宣伝部に勤務する傍ら、椅子の収集活動を開始。以降半世紀以上にわたり近代家具、特に20世紀の北欧家具を研究・収集し、日用品として実際に使用することを基本理念としながら活動を続けている。1994年にコレクションとともに北海道へ移住。1997年、デンマーク家具賞受賞。2015年に「ウェグナーに関する研究成果を世界に対して発表し続け、ウェグナーの今日的な評価の向上に大きく寄与した」ことにより、審査員全員一致にて第一回ハンス・ウェグナー賞を受賞。
織田コレクション
椅子研究家の織田憲嗣氏が世界で収集・研究してきた、20世紀のすぐれたデザインの家具と日用品群。北欧を中心とした椅子やテーブル、照明、食器やカトラリー、おもちゃまで、その数8千以上。関連文献や写真、図面など2万点に及ぶ資料とともに系統立てて集積された、世界でも類を見ない極めて貴重なコレクション。現在その中核となる椅子約1,350種類を北海道東川町が公有化して文化財登録を行い、展覧会や講演会を通じて多くの人に「美しくていねいに暮らす」喜びとヒントを伝えている。