60’sロンドン、モードの旗手の物語

INTERVIEWインタビュー

INTERVIEW2音声ガイド/梅原裕一郎さん

インタビュー 梅原さん

Q.収録おつかれさまでした。収録時に心がけたことはありますか?

梅原さん:
展覧会に出かけた際に、音声ガイドを使われている方を多く見かけました。まずは鑑賞の邪魔をしないように、自然に入ってくるようなナレーションを心がけました。

Q.マリー・クワントという人物、ブランドについてはご存じでしたか?

梅原さん:
最初にお話をいただいた際、お名前だけではピンとこなくて。調べたときに、あのお花のロゴマークがでてきて、「これか!」と思いました。僕の世代もそうですし、上の世代の姉とかが(ポーチなどを)持っていた印象です。

Q.マリー・クワントはファッションデザイナーですが、梅原さんはご自身のファッションについてのこだわりや、こんなスタイルが好き等あれば教えてください。

梅原さん:
マリー・クワント展の音声ガイドをやらせていただいていますが、僕自身は本当にファッションに疎くて、基本的には着られれば何でもいいという感じです(笑)

でも、ファッションはどうしても美術品に比べたら大衆的なものというイメージがあるなかで、マリー・クワントを紐解いていくと、たとえばベトナム戦争の様子からミリタリーを取り入れたデザインを着想するなど、社会情勢とつながっていることがわかり、ファッションの歴史を知って面白いと感じました。

Q.本展の音声ガイドの聞きどころをお願いします。

梅原さん:
歴史を紐解いていくこともそうですし、コンランショップのテレンス・コンランやヴィダル・サスーンなど、(クワントと同じ時代に)天才たちが一堂に会していたという事実も熱くなりました。物語を読んでいるかのような、マリー・クワントの駆け抜けていく様を、ナレーションを通じて知ることができたのは貴重な経験でした。

また、いまではみんながそれぞれ好きな服を着ることは当たり前の世の中ですが、それが当たり前じゃなかった時代にマリー・クワントがいたからこそ、いまが自由に表現できているありがたさを感じられるかもしれません。もしかしたら、いまもまだまだしがらみがあって、数十年後はもっともっと自由かもしれないですね。

Q.音声ガイドではマリー・クワントの人生とともに60年代ロンドンについてもふれています。ビートルズ、ローリング・ストーンズ等、20世紀を代表する音楽カルチャーが多く生まれていますが、梅原さんは普段、音楽はよく聞かれますか?お好きなジャンルなどあれば教えてください。

梅原さん:
ビートルズは昔から好きでよく聞いています。生まれたのが90年代なのでリアルタイムでは触れていませんが、どこか懐かしさを感じたり、あの時代特有の熱量に惹かれたりします。親世代が聞いていたので、その影響を受けて憧れる部分がありますね。母が昔、ビートルズにはまってギターを買ったらしく、母方の実家にビートルズのスコアがありました。中学時代、帰省した際にそれを見つけて、ちょっと弾いてみたりとかしていました。

Q.普段、プライベートで美術展には行かれますか?

梅原さん:
最近だと上野の「ピカソとその時代」(国立西洋美術館)に行きました。そのときも音声ガイドを聞いている方がとても多くてびっくりしました。作品横のキャプションには解説があるのですが、僕は本当に目が悪くて全然読めなくて。音声ガイドを借りれば良かったなと後悔しました(笑)

Q.本展はイギリスのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館から世界を巡回しており、日本では東京渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムでの開催になります。梅原さんにとって渋谷はどのような街ですか?

梅原さん:
渋谷は好きな街です。Bunkamuraの裏の方や一本入った道玄坂の方などいろんな要素がごった返していますよね。混沌としているけれど、みんなが自由に居心地良さそうにしているところが好きです。最近は再開発も進んできれいになりましたし、ぜひ足を運んでいただきたいです。

Q.ご来場の方にメッセージをお願いします。

梅原さん:
マリー・クワントになじみのある方はもちろん、僕自身のように、「あのマリー・クワントか!」と思った方でも楽しめる展覧会となっていると思います。今回ナレーションを担当して、マリー・クワントという人間の生き様や考え方がとてもかっこいいなと思いました。自己表現を自由にできる世の中をつくってくれたのが、もしかしたらマリー・クワントなのかもしれません。彼女がつくってくれたものをちゃんと受け継いで、さらにもっともっと自由に、という気持ちを忘れないようにしたいと改めて感じる展示になっています。ぜひ、良かったなと思ったら、お友達を誘って広めていただければうれしいです。よろしくお願いいたします。