60’sロンドン、モードの旗手の物語

INTERVIEWインタビュー

INTERVIEW1音声ガイド/ピーター・バラカンさん その1
(2022/11/25取材)

「まだ保守的だった60年代ロンドン、マリー・クワントのミニスカートやタイツが色彩感覚を変えていった。彼女は、保守的な時代に反発する自由な若者の先駆者だった。」
―ピーター・バラカン

インタビュー ピーター・バラカンさん1
写真は音声ガイド収録時(11/14撮影)

Q.バラカンさんにとって、60年代のロンドンはどのような時代でしたか?

バラカンさん:
60年代を大人になってから振り返ると、音楽やファッションなど、どの分野においても転換期でした。

戦後、人々は安定した生活を望んで保守的になっていたけれど、戦後生まれの若者は可処分所得を持てるようになり、もっと自由に遊びたいと反発するようになりました。

労働者階級の若者だったビートルズが登場して、その後もさまざまなバンドが現れ、学生だった僕も音楽漬けの日々を送りました。

ビートルズをきっかけにして、若者が文化の中心になっていきました。60年代があったから、イギリスがかっこいい国になったのです。

モッズが大きな話題になり、若者向けの安価なファッションも出てきました。中学生くらいの子にも、ファッションは個性を主張できる道具でした。

マリー・クワントのタイツと靴 1965年ごろ Image courtesy Mary Quant Archive / Victoria and Albert Museum, London
マリー・クワントのタイツと靴 1965年ごろ
Image courtesy Mary Quant Archive / Victoria and Albert Museum, London

バラカンさん:
1965、66年ごろ、マリー・クワントはメディアでも多く取り上げられていて、女の子たちはみんなミニスカートにタイツを履いていました。まだ女性がそういう格好をする時代ではなかったけれど、特にタイツは革命的で、だんだんと色彩感覚も変わっていきました。

マリー・クワントは相当早くから新しい感覚を持っていて、マーケティングも巧みだったと思います。大人に反発した若者世代の一人でもあり、時代の流れの中で、より自由な若者の欲求を表現する先駆者でした。

インタビュー ピーター・バラカンさん2

Q.バラカンさんはロンドンですでに展覧会をご覧になられたとお聞きしました。いかがでしたか?また、本展の音声ガイドのポイントを教えてください。

バラカンさん:
マリー・クワント展がロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館で開催された時に見に行きましたが、彼女が活躍してきた長いキャリアの全体を、よく知ることができました。

音声ガイドでは、60年代の自分自身の体験にもとづいて、当時の価値観や意識の変化などもお話しできたらと思います。