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ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ

トピックス

べス・カーグマン監督 インタビュー(後編)

「ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!」ベス・カーグマン監督 インタビュー

●リストを入手してから、子供達を決めるまでどれくらいの期間でしたか?

コンペティションまでの時間は決まっているので、それほどゆっくりと選んでいる暇もありませんでした。だから、まず仕事を辞めたのです。そしてこの映画のためだけに毎日毎日作業をしました。実際どれくらいの時間がかかったかはちょっと忘れてしまいましたが、おそらく1、2ヶ月だったと思います。まずは、この7人全員にひとりひとり直接会いに行きました。サンフランシスコまで行くと、サトコ(ミコの母)が空港まで迎えて来てくれて、彼女たちとは2日間過ごしました。そこで、私がカメラを回してみて、彼女たちはカメラがあっても大丈夫かどうかを見てみました。先生にもお会いしました。

 

コンペティションの映画を作るというのは、非常に危険なことなのです。誰が勝つか、ということを元に選ぼうとすると、絶対に失敗するからです。絶対に当てることは無理ですから。でも、ミケーラの人生について知った時に、彼女がたとえ勝たなかったとしても、そんなことは関係ないと思えたのです。絶対に彼女はこの映画に登場しなくてはいけないと思いました。彼女の人生というのは、本当にそれだけで映画のようだと思ったのです。ミコの場合は実際に会って、あまりに美しいダンサーだと思いましたし、ジュールズがバレエをそれほど好きじゃないというのも、面白くて最高だわと思いました。私は色々な子供達を撮影したかったから。

 

ご覧の通り、この映画は白人の典型的なアメリカ人だけの物語ではありません。それはこの映画を思いついたときから意識していたことでした。今はとりわけ、アジアとラテン・アメリカから才能のあるダンサーが本当にたくさん誕生しています。ミケーラを選んだのは、いくら才能があっても、アフリカン・アメリカンであるということで、彼女にダンサーとしての葛藤が生まれるからです。彼女は、彼女の後に続く若いダンサー達に道を開きたいという思いがあり、若いダンサー達に素晴らしいインスピレーションとなると思いました。ミケーラがバレリーナとしての完璧な体をしているのかどうかということは、ほとんど関係なく、どうでも良かったのです。それよりも、きっと見ている人達が彼女のことを大好きになってしまって、『彼女がクラシック・バレエの世界で活躍できたら良いのに!』と思ってくれるに違いないと。彼女が足をケガしたとき、私は『映画を撮っているからという理由で無理してダンスする必要はないから』と言いました。そしたら彼女は『カメラが回っている、いないに関わらず私はダンスするわ』と言ったのです。彼女は、ケガよりももっと最悪なことを乗り越えてきた子供なのですから。

インタビューの前編はこちらから!

© First Position Films 2011