2024.05.07 UP
【コラム】「渋い」をたしなむ~元禄文化が生んだアート技法~
5月皐月(さつき):May
新緑が眩しくなる5月。“皐月”という和風月名がなじみ深いと思いますが、皐月以外にも異称がたくさんあります。
例えば<五月雨月(さみだれづき)>。五月雨は【梅雨】を意味しますが、旧暦では5月が梅雨の時期にあたっていたようです。また、梅雨に関連した<月不見月(つきみずづき)>。梅雨の時期は厚い雲に覆われ月が滅多に見られないということから呼ばれていたとか。
現代の5月は何といっても緑が美しく、そしてみずみずしく感じられます。冬の間に葉を落としていた落葉樹が暖かな日差しによって一斉に葉をつけ始めることから新緑と言われているようですよ。清々しい季節に、アート巡りと共に新緑を感じてみてはいかがでしょうか。
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■アートを知る―金襴手―
好景気を迎え、経済力を蓄えた町人を中心に発展した元禄年間(1688年~1703年)には、演劇・文学・美術など、様々な文化が発展しました。伊万里焼に“古伊万里金襴手様式(こいまりきんらんでようしき)”が誕生した時期でもあります。
金襴手とは、金彩を施した色絵磁器の一様式を指します。織物の金襴から連想して呼ばれていたようです。華美な高級食器として国内の富裕層の間で好まれました。さらに、海外輸出向けにも古伊万里金襴手様式の壺や皿が生産され、西欧の王侯貴族にも食器や室内装飾品として人気を博しました。続く明治時代になるとそれまで道具であった様々な工芸品が鑑賞品として評価されるようになったとか。
江戸時代の高級食器から、美術品へ…人々を虜にしてきた絢爛豪華な古伊万里金襴手が、戸栗美術館にて6/30(日)まで展観されています(戸栗美術館『鍋島と金襴手ー繰り返しの美ー展』)。
元禄期の職人たちの技術が凝縮された色彩豊かな作品たちを、ぜひご高覧ください!
※本コラムは展覧会開催時に執筆されたものです。戸栗美術館『鍋島と金襴手―繰り返しの美ー展』は終了しました。
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【一部引用】※外部サイトへリンクします
・戸栗美術館ホームページ『鍋島と金襴手―繰り返しの美―展』
https://www.toguri-museum.or.jp/tenrankai/index.php
・金襴手|工芸用語集
https://www.kogeistandard.com/jp/resource/kinran-de/