皆さんの通った学校には「吹奏楽部」があっただろうか？ 全国の中学校、高校の多くに吹奏楽部が存在し、吹奏楽を楽しむ人の多さ、裾野の広さは誰もが感じるところではないかと思う。アマチュア吹奏楽団の活動なども活発で、生涯を通して楽しむ人も増えている。そんな熱い吹奏楽界に向けて、新たな出会いを贈るシリーズ『オーチャードブラス！』が今年も始動する。
昨年の第1回公演では、吹奏楽コンクール界のカリスマ指導者である藤重佳久と若き吹奏楽団ぱんだウインドオーケストラの初共演で大いに話題を呼んだ。藤重は九州の名門・精華女子高校吹奏楽部の顧問を35年間務め、コンクールの常連として高校吹奏楽界をリードしてきた名物教師。その明るくパワフルなキャラクターから全国にファンも多く、これまでメディアにも度々登場している。定年を機に、長年教鞭をとった精華女子高校を辞し、一昨年赴任した活水高校では、着任1年目にしてそれまでコンクールに無縁だった吹奏楽部を全国大会に出場させ、またもや業界に衝撃を与えたのだ。吹奏楽を知り尽くしたベテラン先生と新進気鋭の若手演奏者は、藤重十八番のC・T・スミスの諸作、P・スパークの「宇宙の音楽」などを実にフレッシュで多彩な音色でオーチャードホールに響かせ喝采を浴びた。
第2回となる今回、指揮には引き続き藤重佳久が登場する。吹奏楽を誰よりも愛する藤重と共にステージに上がるのは、オーケストラ団員を中心とした選り抜きの奏者。各セクションに第一線で活躍するオーケストラ団員やプロ演奏家が集い、自らの推薦する若手演奏家でパートを編成するという試みだ。「この人と一緒に演奏したい！」という強い思いがつまったステージというのは、時に思いもよらない熱気を生み出す。既存の楽団の演奏とはまたひと味違った、若さ溢れる熱量と、手練れたちのアンサンブルの妙、その双方が引き起こす化学反応に大いに期待したい。
