K-BALLET Opto 「プティ・コレクション」

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2022.08.16 UP

振付家・渡辺レイ×Salute チーフデザイナー・小島沙弥香
スペシャル対談が到着!

K-BALLET Opto 公演で上演される渡辺レイ振付『プティ・バロッコ“小さな真珠(ゆがんだ真珠)”』では、ワコールが展開するランジェリーブランドSalute(サルート)とのコラボレーションが実現し、Saluteのキャミソールを衣裳とすることが決まりました。
渡辺レイは作品のクリエーションのごく初期の段階で、衣裳に下着を使用したいと強く希望していました。さまざまなカタログを眺めていたときに「これがいい!」と即決したのがSaluteのランジェリーだったのです。
今回、Saluteのチーフデザイナーである小島沙弥香さんと渡辺レイとの対談が実現しました。クリエイターであるお二人に自分の作品、共通する思いなどを語っていただきました。


Salute のコンセプト

──40年続いているブランドSaluteは、どのようなコンセプトで製品を作っているのでしょうか。

小島沙弥香(以下、小島):私が入社した時には、Saluteが誕生してからもう何年もたっていたのですが、「劇的セクシー」をテーマに、強い女性像をイメージしているところは変わっていません。ワコールの中でも一番セクシーであるという部分は、もうずっとブレていないと思います。

──具体的にどういった人を対象にしているのでしょうか。

小島:一番初めに体に触れるものなので、そこから気持ちが変わる、Saluteを着けたことによって自分の生活に彩りが生まれる、そういうことを楽しんでいる人。下着を通して女性であることや人生を謳歌してる人。
さらに、誰かに流されるのではなく、自分はこれが素敵、好き、この色がピンとくる、というように直感や自分の気持ちに素直な人。下着を楽しみ、気持ちを上げたいと思っている。はやりとかでもなく、自分が好きだと思うものを選べる、そういう人たちのための下着です。

Salute を選んだわけ
──レイさんから、作品を作る一番最初に下着を使いたいという、強い要望がありました。いろいろな下着のカタログを見ている中で、レイさんが「これがいい」と言ったのがSalute だったんですね。

小島:ありがとうございます。

──レイさんがどういうレーダーでSaluteにたどり着いて、ぐっと来たのかというところを教えてください。

渡辺レイ(以下、渡辺):Saluteの下着を朝、着けたら自分の自信とか女性である自信が湧き上がってくると思うんです。私は、今回の作品を作り始める時の感情と共通してるなと思ったんです。Saluteの写真を見た時に「あ、もうこれだ」って直感的に思ったんですよ。感覚的にこういう女性像でいてほしいなっていう。自信を持って自分をさらけ出す。かなり過激な下着でもあるので。

小島:そうですね(笑)。

渡辺:過激だけれど自分の中に自信があればそれが過激に見えない。すっごく恥ずかしがってそれを着ていれば、やっぱりそういうふうに見られてしまう。だから、自分に発信力があって、そこで素晴らしい下着と素晴らしいダンサーがマッチングしたら、より素晴らしくなるなあと思ったんです。最初に写真を見た時に、Saluteの製品は、私には下着には見えなかったんですよ。どれも全部着てみたいな、ダンサーに着せてみたいなって思いましたね。

『プティ・バロッコ“小さな真珠(ゆがんだ真珠)”』に共感する部分

──今回のレイさんの作品の内容について簡単に説明していただけますか。

渡辺:ルネッサンス時代の絵画、舞踊、音楽、建築物などはとても均整が取れていてゆがみがないのですが、バロック時代に入ってその均整にゆがみが出てきます。人々が長い間認めなかった「ゆがみ」、そこにすごく興味を持ちました。バランスの取れた完璧なものにゆがみが出てくると、そこに美しさが見出されるのかなと思って。真珠だって完璧に丸い真珠より、ゆがんだ真珠、完璧でないゆがんだものを私はかわいいなと思っちゃうんですよ。完璧な人間より何かちょっと「あれ?」って思うほうが興味を引くし、かわいいなと思う。
ゆがんだ真珠や完璧でない女性の持つかわいらしさ、そこから美とか強さを感じる。そこを男性はどうやって見るのかなと思ったんです。パーフェクトな女性像を描いている男性だってたぶんいると思うんですよね。でも、そこを何か超えたところでやっぱり人間対人間という関係性になっていくのかなあと思って。

──Saluteにご協力いただくことになった理由のひとつに、レイさんの作品にすごく共感する部分があると言ってくださいました。具体的にどういった部分でしょうか。

小島:他人に評価されるためやだれかに媚びるのではなく、自分に自信があり、それが美しさになる、という考え方です。Saluteもそうなんですけど、決して誰かに媚びて作ってるものじゃないんです。自信があるからこれを選べるとか。ダンサーの方たちにその自信をすごく感じて、こういうのってやっぱりかっこいい。かわいいというよりもかっこよさとか芯の強さとか、言い方を変えたら「いけてる」みたいなそういう感じがしました。
実際に練習を見せていただいたのですが、バレエってこんなにパワフルですごいんだと思い、感動しました。

渡辺:うん。私はSaluteを使うことによっていやらしさを出したくはないんですよ。いやらしさを超えた美しさ。どんな動きをしてどんな表現をしても、それがいやらしさにならないようにするにはどうしたらいいのかと気をつけています。
ランジェリーを着けてるからこの動きはだめだとか、そういうのはあまり気にせず、まず直観で作っていって、そこに、身体にまとわる美しいランジェリーが舞台の上で作品として一体化する。音楽とランジェリーとダンサーと舞台の照明、全部が一体化して、作品が成立したらいいなと思っています。
男性ダンサーも出演します。“典型的”な男性として出てくるんですが、作品が進むにつれて、人間対人間として認め合うようになる。でも、最初は理想化された女性を見てもう完全に「うひょーっ」て喜んでいます(笑)。女性はハイヒールはいてるし。

Saluteファンの方へ向けたメッセージ

──Saluteファンの方でまだバレエを見たことのない方もいらっしゃると思います。そういう方に、どういうふうに自分の作品を観てほしいですか。

渡辺:やっぱりダンス作品で素晴らしいSaluteの製品を着るのは抵抗があるんです。でも、その抵抗を逆手に取って、ランジェリーとしてじゃなくて本当に身体が動いている、まとわっている衣裳として捉えてほしいです。
こういうふうに動いた時にランジェリーの肌色の部分がふわって動く、その流れの美しさとか。あるいはランジェリーが上がってきちゃう時もあるし、めくれてしまう時もある。でも、その瞬間こそがSaluteの美しさなのだと思います。ただランジェリーを着て立っているマネキンではない。動きの美しさですね。そこに注目していただきたいです。

編集・ライター:結城美穂子

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小島沙弥香(こじま さやか)
ワコールに入社し、別ブランドを経験したのち、40年続くブランドSaluteを担当して13年。現在、Salute のチーフデザイナー。

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