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アジアの奇跡、再び。"踊る精霊"ヤン・リーピンのすべてがここにある原点にして代表作「孔雀の舞」の決定版! ヤン・リーピン「孔雀」芸術監督・構成・主演 ヤン・リーピン

2014年5月23日(金)~6月1日(日)

Bunkamuraオーチャードホール

ヤン・リーピン、ここに極まる。中国の至宝と称される舞踊家ヤン・リーピンが、持てるすべてを惜しみなく形にした最高傑作、いよいよ来日!

本作は、2012年に中国で発表されるやいなや、嵐のような話題と評価を集め、ダンサーだけで50人を超す大作ながら、すぐに中国全土のツアーが決定。
壮大で哲学的な世界観、胸を打つストーリー、豪華な衣裳とセット、迫力ある群舞、また何より、これまで磨き上げてきた技術を惜しみなく注ぎ込んだヤン・リーピンの踊りが絶賛されたのだ。
もう封印されたと誰もが思っていたヤン・リーピンの孔雀の舞。日本でも『シャングリラ』や『ヤン・リーピンの"クラナゾ"』の中で披露され、観た人の心を鷲掴みにした奇跡の舞が、これまでのどの作品よりもたっぷりと、そしてスケールアップして披露されていることに誰もが驚いた。 しかもうれしいことに、ソロ、デュエット、トリプル、群舞などあらゆるタイプのヤン・リーピンの舞踊が、かつてないボリュームで堪能できるという豪華さ。彼女は正式には年齢を公表していないが、キャリアを逆算して考えれば50歳をゆうに超えているはずで、本作で見せる圧倒的な体力と神々しい美しさは、常識を大きく外れて驚異的だ。年齢を経て、衰えどころか、むしろ余裕さえ感じさせる見事な舞踊は、今こそが彼女の最盛期ではないかと思わせるほど。
「孔雀」は、間違いなく、ヤン・リーピンがすべてを注ぎ込んだ集大成である!!

愛の物語こそが、孔雀にふさわしい。

これまで日本で上演されたヤン・リーピンの孔雀の舞は、孔雀の生態を舞踊へと変換し、芸術に高めたものであった。本作では、技術と芸術性の高さはそのままに、移り変わる四季を背景にした深遠なラブストーリーに創り上げた。豊かな自然の中で生命が生まれ、運命的な出会いを経て恋が生まれ、その愛が豊かに育ち繁栄をもたらす──。おごそかで祝祭的な愛の物語は、ヤン・リーピンが磨き上げてきた孔雀の舞のテクニックが、存分に発揮される。
一方でヤン・リーピンは、孔雀の愛がカラスの邪悪な欲望の犠牲になるというストーリーラインも用意している。それも、カラスを一方的な悪者にするのでなく、美しさと愛に強く憧れる孤独で不器用な存在として描き、物語を苦く深遠なものにしたのだ。
輝き、喜び、希望、美、清純と共に、渇きや陰影、寂しさや激しさなど、愛の全容を舞踊に込め、全身で踊り尽くす。それによって孔雀の舞は、観る人の記憶に刻まれるものになった。

ヤン・リーピン「孔雀」 舞台写真

四季の移り変わりと、生命の循環。

この作品のストーリーの流れを支える重要な役割を担うのが、四季の流れ。
舞台上で変わってゆく春、夏、秋、冬という季節は、孔雀達の住む森の時間を表し、孔雀達の愛の形が変化していく様子に伴走する。

「ものごとはすべて変化し、命は繰り返します。仏教に輪廻という考え方がありますが、春夏秋冬という季節の変化の中で、それを表現したいと思いました」――ヤン・リーピン

「神」「時間」といった抽象的な概念が役として設定され、ヤン・リーピン独特の哲学的な世界観を、舞踊劇の形でイメージ豊かに構築している。

ヤン・リーピン「孔雀」 舞台写真

驚異の能力を持つ"後継者"に注目。

四季の歩みを刻み、決して止まることのない時の経過は、この作品の重要なポイント。
それを体現する「時間」の役に抜擢された美少女パフォーマーが、ヤン・リーピンの実の姪であり、幼い頃からカンパニーの中で育って来た、若干14歳のツァイー・チー(彩旗)だ。
2時間の上演時間中ずっと、一瞬も止まることなく体を一方向に回転し続ける。

「訓練してこれができるようになったのではなく、私は子供の頃から目が回るということがないんです。
ただ、今のように長く回転していられるようになったのは、叔母から"他の人が稽古している間、あなたは体力をつけるために回っていなさい"と言われて毎日練習していたから。
私が回転していた場所は、他と比べて床がくぼんでいるんです(笑)」――ツァイ・チー

こともなげに笑顔で話す驚異的な身体能力とずば抜けた存在感を持つツァイー・チーは「ヤン・リーピンの後継者」と目されるのも納得。
ストーリーの内容に合わせて自在に緩急をつけ回転する姿は、血筋を感じさせると同時に、血のつながりがなくてもきっとヤン・リーピンに見つけ出されたであろう才能を感じさる。

世界一流のクリエイターが参加。

本作の美術総監督と衣裳デザインを手がけるのは、ハリウッドでも活躍し、映画『グリーン・デスティニー』で2001年のアカデミー賞最優秀美術デザイン賞を受賞したデザイナーのティム・イップ(葉錦添)。
前からヤン・リーピンの仕事に注目していたというティム・イップは、プロジェクトのスタート当初からヤン・リーピンと綿密な打ち合わせを繰り返し、稽古場にも通い詰めたという。

「孔雀の動きを模倣するダンサー達を目の前で見て、話を聞き、どんな素材を使い、どれだけの長さや重さの衣裳にすれば彼らの動きが活かせるのかを丹念に調べてプランを練りました」――ティム・イップ

こうしてビジュアル面での一層の充実を図り、ヤン・リーピンの最高傑作にふさわしい美的世界を完成させた。

葉錦添(ティム・イップ / Tim Yip)美術総監督 / 衣装デザイン

衣装、ビジュアルアート、映像美術、現代アートデザインの著名芸術家。中国現代芸術の解釈に没頭し2001年に映画「グリーンデスティニー」でアカデミー賞最優秀美術デザイン賞とThe British Academy of Film and Television Arts「最優秀衣装デザイン賞」を受賞、これらは中国人として初の受賞。新しい東方主義的美学を全世界に紹介し、世界に東方芸術文化を知らしめた最も重要な芸術家の1人といえる。