<プロローグ>
道化師トニオが「ごめんなさって、紳士淑女のみなさま・・・我々の衣装よりも我々の魂をご理解ください」と前口上を述べる。
<第1幕>
1865年ごろ、聖母被昇天祭の祝日(8月15日)、南イタリアのカラブリア地方の村はずれ。旅芝居の一座を村人たちが喝采して出迎える。座長カニオが「今夜の芝居に是非お越しを」と宣伝。教会から晩鐘が聞え、村人たちは「金の合唱」を歌いながら家路につく。誰もいなくなった芝居小屋の前で、トニオがネッダに言い寄るが、ネッダは醜いトニオに取り合わない。そこにネッダの愛人で村の優男シルヴィオが現れ、二人は愛の二重唱を歌い、今夜駆け落ちすることを約束する。それを盗み見たトニオは、カニオに伝えに走る。戻ってきたカニオはネッダに詰め寄り、怒り狂う。カニオはアリア「衣装をつけろ、悲しいときも人様を笑わせなければならないのが道化師。笑えパリアッチョ」を歌い、一人号泣する。
<第2幕(劇中劇)>
間奏曲に続き、村人たちが芝居小屋で開幕を待っている。ネッダとシルヴィオは駆け落ちの打ち合わせをする。劇中劇の幕が上がると、ネッダ扮するコロンビーナが夫の留守をいいことにペッペ扮する恋人アルレッキーノと密会する。劇中劇で「今夜からずっとあなたのものよ」とささやくコロンビーナの言葉に、カニオは現実と芝居の区別がつかなくなってくる。カニオ扮するパリアッチョは家の中に他の男がいたとコロンビーナに罵り、「もうパリアッチョではないぞ」とネッダに激しく迫る。観客は迫真の演技に喝采を送るが、なんだか様子がおかしい。激しくやりとりする二人に殺気を感じる。ついにカニオはナイフでネッダを刺し、観客席から飛び出してきたシルヴィオにもナイフを突き立てる。観客は総立ち。カニオは「芝居は終わった」と呆然として告げ、悲劇が終わる。
Photos:マッシモ劇場提供