サウラ×アイーダ。
最強コンビによるフラメンコ・バレエ
 
  どんなに求めても、決して自分を見てはくれない男。なぜなら、その男は神のみを見つめているからだ。身を焦がす思い、 耐え難い欲望の昂まり――。

 月光の下、「七つのベールの踊り」と引き換えに、愛する聖者ヨハネの首を所望した王女サロメの物語。聖書に記され、オスカー・ワイルドが美しい悪夢のような一幕劇に仕立てた究極の愛の神話が、スペイン映画界の巨匠カルロス・サウラと、元スペイン国立バレエ団芸術監督にして、伝説的ダンサーのアイーダ・ゴメスのコンビにより、熱い官能の香りに満ちたフラメンコ・バレエとなった。
 アイーダは、ワイルドの『サロメ』を読んですぐ、「これを踊りたい」と思ったという。01年、芸術監督の重責から解放された彼女は、自身の舞踊団の旗揚げに際し、信頼するサウラ監督に新作『サロメ』の演出を依頼した。サウラは、舞台と平行してフィクション映画を製作するアイディアを提案。こうして舞台『サロメ』と映画『サロメ』は同時進行で誕生した。
映画公開に続き、いよいよ来春には舞台『サロメ』がやってくる。
進化し続ける世紀のダンサー、アイーダが踊る究極の愛のかたちを、ぜひオーチャードホールで体験してください。

死に至るエクスタシー、
「七つのベールの踊り」
完璧なボディを七枚の薄衣に包み、義父ヘロデ王の前に立つサロメ。凛とした背中、美しい曲線を描く胸のライン。指先と手首、腰をくねらせ、両足が激しく床を打ち鳴らす。そのリズムは、激しく轟いたかと思うと、一部の隙もなくぴたりと静止し、さらに激しさを増してゆく。欲望に満ちた目で王たちが見つめ、手拍子が高まる中、一枚、また一枚と脱ぎ捨てられていく衣――。 素顔は妖艶というより、むしろさばさばした印象の強いアイーダだが、このシーンを踊るたびに、自分が女性であることを実感するという。「『七つのベールの踊り』はダンサーが表現しうる最も美しいダンスだと思います。誘惑は、女性の最大の武器ですね(笑)」すべてをさらけだす究極のダンス「七つのベールの踊り」は、絶対に見逃せない!
ドラマを突き動かす
アジアの香りあふれる音楽
どこか暴力的に鳴り響く「ヘロデ王の登場」のテーマが、舞台を一気に古代へと運び去る。アラブ風のメロディや宗教音楽をフラメンコのリズムの中に昇華させた、ロケ・バーニョスによる音楽は聞き応え十分。音づくりには、00年ラテン・グラミー賞を受賞した天才ギタリスト、トマティートを始め、フラメンコの大物アーティストが多数参加している。
フラメンコを伝えた流浪の民ロマ(ジプシー)の故郷はインドだという。東洋的な音をふんだんに取り入れたバーニョスの音楽が、フラメンコとまったく違和感なく、心地よく響くのも当然かもしれない。
サウラ美学に貫かれた
スタイリッシュな舞台
フラメンコを知り尽くしたサウラ監督が作り出す空間は、シンプルかつスタイリッシュ。真っ白なスクリーンを背景とする洗練された空間の中、ダンサーたちの鍛えられた肉体が、時にはシルエットになり、時には衣裳のあでやかな色をひらめかせ、様々な表情を見せる。音楽と光による大胆な演出のもと、舞台上で欲望の化身・サロメと化す稀有な舞姫アイーダの姿は、きっとあなたの眼に焼きついて離れない……。





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