――― 今回は、映画と舞台が両方あるわけですが、最初に映画を見たときにどのように思いましたか。 |
一番最初ですか。
肉体的に疲れを感じることなく、自分が踊っているのを見られたのが、とても嬉しかったです。
自分自身が座っているのに、自分が踊っている姿を見る経験は、以前にはなかったので。
冗談はここまでにして。映画「サロメ」を見た第一印象ですが、カルロス・サウラ監督の作品の中でもっともすばらしい作品に出来上がっていると思います。映像的に美しいですし、また照明の技術もすばらしいと思います。
自分が想像していたものと、ぜんぜん違うものに出来上がっていました。撮影のときは、シーンごとにカットが入ってしまいますので。
また、サウラ監督は、私のことをよく知っているので、映画の中で監督が観客に見せたい「私」というものを撮ってくれました。
今回の作品は、一つの印象でまとめることは出来ないと思います。つまり、映画の中で皆さんがご覧になっている私は、ダンサーであり女優であるともいえますし、女優でありダンサーであるともいえます。見ている人によって意見は違うと思いますが、色々な面が出せたんじゃないかと思います。
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――― 日本で上演される映画・舞台の「サロメ」の見所をそれぞれ教えてください。 |
映画と舞台とは全く違うものですから、ぜひ両方見ていただきたいですね。映画に関しては、すばらしい作品に仕上がっていますし、皆さんに落ち着いて座っていただいて、ファンタスティックな世界を味わっていただければと思います。ただ、舞台の方も来ていただかないと私のエネルギーは皆さんにダイレクトに伝わりません。皆さんが劇場で私と同じ時間を生きる、分かち合える経験が出来るのはやはり舞台だと思います。
アイーダが舞台でどのようなものを皆さんに見せようとしているのか。また舞台という自由な空間をどのように使って表現するのか。そういったことを劇場にいらしてぜひ見てください。
追加のメッセージなのですが、映画は1年半ぐらい前に撮影が終わったものです。あそこに出ている“サロメ”は、その時の私なのです。撮影が終わってから舞台の「サロメ」を70回上演しました。演じるたびに、私はより“サロメ”に近づけたと思います。映画が終わってから1年半の間に私の人生も色々な変化がありましたし、色々な経験をしましたのでぜひ舞台に来ていただいて、現在の「サロメ」を楽しんでいただければと思います。
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――― 個人的に一番好きなシーンや見てもらいたいシーンがあれば教えてください。 |
「7つのベールの踊り」ですね。
「7つのベールの踊り」は、ダンサーが表現出来るもっとも美しいダンスだと思います。
私の楽屋に知人が訪ねてくれたとき、よく「どうやって踊るの。ぜひ夫の前で踊りたいの」と聞かれてしまうのですが、そのくらいインパクトのあるダンスです。
1,000人の観客の前で私は「7つのベールの踊り」を踊っています。自分の裏側をそこにさらけだしているわけです。そこで、自分の女性らしさや内面を皆さんの前で表現出来ればいいですね。
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――― 最後に、日本の観客の皆さんに向かってメッセージをお願いします。 |
私は、日本が大好きです。日本の方もスペインが大好きだと聞いています。ですから、Bunkamuraで、皆さんの前で自分を表現することを楽しみにしています。絶対後悔するような公演ではありませんし、2時間の間、皆さんが色々なことを忘れてしまうような時間を共有出来ればと思います。
私自身にとっても皆さんにとっても忘れがたい2時間にしたいと思っていますので、ぜひ「サロメ」をご覧になってください。 |
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