今年、「親と子のファミリーコンサート」で21世紀の古典芸能を支える若手注目株として登場する3人衆のひとり、狂言師・茂山逸平。幼い頃から狂言の世界だけにとどまらず、テレビドラマなどでも活躍してきた彼。現在では古典芸能を見つめ直し、広く狂言を世に広めるための「TOPPA!」を主催。また狂言師たちが現代劇を上演する、「伝統の現在」シリーズなどのチャレンジも続けている。本コンサートでは、尺八の藤原道山、大鼓の亀井広忠とコラボレーションし、古典芸能の世界を誰でもわかるようにナビゲートしてくれる。
「道山さんの大ファン」と語る彼は、仕事場をともにする亀井と「一緒に仕事ができたら…」と以前から語っていたという。しかし、それが“いざ実現”となると、何をやるかは相当迷ったという。そして選んだのは『牛若丸』。台本構成は逸平自らが担当する。
「幼い頃から義経フリークだったので、牛若丸は絵本でも何でも形にしてみたかった題材なんです。戦いの場面に、うまく道山さんの尺八や広忠さんの大鼓がはまるように考えようと思っています」。有名な五条大橋での弁慶と牛若丸の戦いのシーンを、彼がどのように味付けするかは大きな見どころとなりそうだ。
今回は特に司会者などは立てず、出演者のMCでコンサートをつないでいく。中でも逸平は普段の活動で学校や親子劇場などをまわっているため、その語りは慣れたものだが「子供の反応は素直すぎて怖い」という部分もあるのだとか。それでも狂言に興味をもった子供が、茂山家に狂言を習いにきたり、それを見た親が子供をうらやましがって、遂には一家で習い始めたり…という嬉しい反応があるという。そもそも茂山家の狂言は“お豆腐狂言”と呼ばれ、庶民にも親しみやすくつくられている。「うちの場合は“笑えない”という理由だけでやらない演目がたくさんあります。せっかく来てもらうんだから、難しいものをわざわざ選ぶ必要もないと思いますし」という言葉には、楽しい狂言を多くの人に見て欲しいという願いが感じられる。
邦楽、古典芸能と聞くと難しく感じる人もいるかもしれないが、本コンサートはとっても気軽な雰囲気。逸平をはじめ“和の世界”を知り尽くした3人の世界を、思う存分楽しんで欲しい。
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茂山逸平インタビュー |
21世紀の古典芸能を支える若手注目株としてコンサートに出演する3人衆のひとり、狂言師・茂山逸平。藤原道山との共演や、『牛若丸』を演目に選んだいきさつ、子供たちの前で狂言を演じることについてなどを語っていただきました。皆様へのメッセージもございます。
※インタビュー中の「おおかわ」という言葉は「大鼓」と書き、通常は「おおつづみ」と言われています。 |
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