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徳川幕府崩壊を目前にして騒然としている京の都。
朱雀隊の隊士である白野弁十郎は、剣もたち無頼漢だが歌を詠む繊細な心を持ち合わせている。幼少の頃から憧れている従妹の千種に、隊の新人、来栖生馬への恋心を打明けられる。傷心の白野だが、来栖も千種を想っていることを知り、雅な言葉を知らない来栖に代わって、恋の言葉を考えようと提案する。千種への思いは誰よりも強いが、異様に大きな鼻をもった白野は、己の醜さでは遂げられない恋と諦めたのだった。
白野のお陰で、来栖を立派な歌詠みと信じている千種を残し、白野と来栖は戦場へ。
戦場でも白野は来栖に代わって激しい恋の便りを送り続け、遂には来栖に気持ちを悟られてしまう。やるせない思いで戦場に出た来栖が戦死し、白野は一度は打明けようとした千種への想いを、心に秘めると決心する。
あれから十余年、仏に仕える身となった千種を慰めるため、落ちぶれた今も白野は彼女の元に通う。秋の夕暮れ、途中で負った瀕死の重傷を隠す白野に、千種は来栖からの最後の手紙を見せる。日が落ち、辺りは暗くなってきたのに恋文を読み上げ続けている白野。
長年を経た今でも千種への思いを綴った手紙を諳んじているのだった。千種はそのことに・・・・・。
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