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アニー・レオーニさん特別インタビュー(前編)
2025.08.04 UP
2024年11月に来日した、レオ・レオーニのご令孫であるアニー・レオーニさんに、Bunkamuraザ・ミュージアムのレオーニ展担当スタッフが対面。制作中であった展覧会のことから子どものころの思い出など、さまざまなお話を伺いました。その時の様子を展覧会の会場の写真なども交えながら2回に分けてお届けします。
笑顔がレオ・レオーニにソックリ!なアニーさん
レオ・レオーニが絵本を通して伝えたかったこと
Bunkamura:今回ヒカリエホールで開催する「レオ・レオーニの絵本づくり展」は大きく3つのセクションに分かれます。まず第1章では絵本の技法を紹介し、最もよく使われている “コラージュ”から見ていきます。またここでは“ねずみ”のキャラクターに注目したいと思っているのですが、今回ねずみのキャラクターを制作するためのパーツを、特別にお借りできることになりました。来場者のみなさまに是非見ていただきたいので、展示できることをとてもうれしく思っています。
アニー:各地を巡回する「レオ・レオーニと仲間たち」展とは別に、渋谷ヒカリエの会場で開催する「レオ・レオーニの絵本づくり展」だけでお見せするのですよね!
Bunkamura:はい!パーツの実物を見ることによって、ねずみのキャラクターがどのように作られたのかがひと目で理解できるので、本展の構成上欠かすことのできないものだと考えています。そしてこのセクションではほかにも雪の質感の表現方法や、素晴らしい紙の選定などにも注目したいと思います。
実際に展示しているねずみのパーツ/「レオ・レオーニの絵本づくり展」会場
アニー:紙を “切る” のと “ちぎる” のとでは質感に大きな違いが生まれます。これはとても重要なポイント。たとえばねずみだと、胴体部分はすべて手でちぎられていて、しっぽや耳ははさみで切られています。また、紙にモノプリント(転写する技法)を施すなどの工夫もみられます。
Bunkamura:その辺りの情報を本展ではお客様にしっかりとお伝えしたいと考えています。絵本を見るだけではわかりにくいことも、今回の原画の展示を通して理解を深めていただけるのではと思います。また実際に目にすることで、レオーニさんが絵本に使った技法がいかに多様であったかがわかるはずです。
第1章のあとは、インターバルとしてレオについて紹介をするセクションを設けます。アニーさんのサイトで見ることのできる動画もここで上映します。
第2章《6わのからす》/「レオ・レオーニの絵本づくり展」会場
Bunkamura:そして第2章では『6わのからす』の原画を全ページ分展示します。レオーニさんの原画にはたくさんの技法が使われていてみどころ満載ですが、物語も必要不可欠な要素であると言えます。ここでは原画で技法をお見せしつつ、『6わのからす』の物語についてもしっかりと紹介したいと考えています。
アニー:絵と物語の調和をレオは重視していました。作家でありイラストレーターでもあった彼にとって、言葉と画像の組み合わせ、そしてページ組みはとても肝要で、最も気を配っていた部分です。レオの作品はテキストとビジュアルが密接に結びついているのです。
Bunkamura:そしてレオーニさんが伝えたかったメッセージも非常に大事です。「ことばには まほうの ちからが ある」、そして「はなしあいに ておくれは ないよ」 といった『6わのからす』の言葉には、現代社会にも通ずる力強いメッセージが込められていると思います。
アニー:その通りです。
Bunkamura:この展覧会では『スイミー』と『あおくんときいろちゃん』の絵本原画は出展されませんが、この2作品は日本で最もよく知られている絵本だと言えるでしょう。レオ・レオーニの展覧会、といってもピンとこない人もいるかもしれませんが、小学校の教科書にも載っている『スイミー』といえばわかる人がたくさんいます。
アニー:私が乗って来た飛行機のCAさんも、レオ・レオーニは知らなかったけど『スイミー』は知っていました!(笑)
Bunkamura:そうでしたか!残念ながら『スイミー』は原画が所在不明となっているため紹介できませんが、今回は映像や音を取り入れたインタラクティブ作品として第3章で登場します。一緒に遊ぶことのできる、絵本の中に飛び込んだような空間をイメージしています。
アニー:この章がどんな展示になるのか、とても楽しみにしています!
第3章《スイミー・スクロール!》/「レオ・レオーニの絵本づくり展」会場
インタビュー後半も近日ご紹介します。お楽しみに!
※インタビュー中レオ・レオーニは“レオーニさん”、アニー・レオーニさんは“アニーさん”と表記しています。