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\作品コラム公開/「鈴木康広展 ただ今、発見しています。」
2024.04.04 UP
7/20(土)より開催する展覧会、二子玉川ライズ スタジオ & ホールで開催する「鈴木康広展 ただ今、発見しています。」のミニコラムを公開♪
「見立てってなあに?」
皆さん、「見立て」(みたて)という言葉、ご存じですか?あまり聞きなれないかもしれません。
アーティスト・鈴木康広(すずきやすひろ)さんの作品では、この「見立て」が重要なキーワードなのです。 Bunkamura ザ・ミュージアム担当スタッフが「見立て」についてご紹介!
鈴木康広 《りんごの天体観測》スケッチ ©Yasuhiro Suzuki
「見立て」とは?
眠れない夜、天井をじーっと眺めていると木目が顔やお化けなど、違うものに見えてきたことはありませんか?
こうした、「これは何かに似ているかも!」という気付き、そして実際に、あるものを別の何かに置き換えて表現することを「見立て」といいます。
例えば本展に出品される《りんごの天体観測》は、りんごの斑点を夜の星に見立てた作品。りんごをじーっと見つめていたら、皮にプツプツとある斑点が星に見えてきたんですって。
鈴木康広 《りんごの天体観測》 2014年
鈴木康広 《りんごの天体観測》 2006年、2021年 撮影:Jeni Katzner
こうした発想転換のプロセスは、鈴木康広の大切な創作源のひとつです。
お散歩している時、お買い物に行った時、サッカーをしている時、歌をうたっている時…
皆さんが普段過ごしているいつもの生活の中に、まだ誰も発見していない「見立て」がきっと潜んでいます。
雨が降った後の水たまりや、アイスを食べた時スプーンの後が別の何かに見えてきた人は、もう立派な見立て博士です!
いつもより少し見方を変えて、それぞれの楽しみ方で見立てを探してみてくださいね。
《まばたきの葉》
鈴木康広 《まばたきの葉》 2003年 courtesy:ワコールアートセンター photo:市川勝弘
写真は、美術の資料集の表紙にもなったことのある鈴木康広さんの作品。
タイトルは《まばたきの葉》と言います。
実はこの作品、鑑賞に加え、体験して楽しむ事で新たな「発見」が生まれるんです。
この作品の楽しみ方をBunkamura ザ・ミュージアム担当スタッフがご紹介!
《まばたきの葉》
煙突のように背の高い、白い筒の先から吹き出しているのは、葉のかたちをした白い紙。皆さん、この紙には何が描かれているか分かりますか?よく見ると目が描かれているんです。
葉のかたちをした白い紙の裏表にはそれぞれ、開いた目と閉じた目がプリントされています。
幹に見立てた円筒のてっぺんからクルクルと舞い落ちるさまは、まるで葉っぱが「まばたき」をしているよう!どんな作品なのか、動画でご紹介します。
白い筒の真ん中あたりにある差し込み口から紙の葉っぱを入れると、内部で上の方に巻き上げられて、葉っぱが上に登っていきます。まるで、芽吹いてからやがて落ち葉となるまでの、葉っぱの一生を見ているよう!
少し離れて眺めてみると、葉の茂る枝を伸ばした、一本の木にも見えてくるかもしれません。
葉っぱを入れる枚数やタイミング、その時の空気の流れ等環境によっても作品の表情は都度変わるので、同じ風景は二度と見れません。その一瞬一瞬の風景もまた、唯一無二の「作品」となります。
ご家族で一緒に入れてみるもよし、ひとりでチャレンジするもよし。もちろん大人の方も体験してみてくださいね。
もしかすると、あなたの“目”も作品の一つになるかも!?展覧会の開催準備中ですので、開幕までどうぞお楽しみに!
《空気の人》
鈴木康広 《空気の人》 2007年、2009年「空気の港−テクノロジー×空気で感じる新しい世界」 羽田空港 第2ターミナルにて
写真のタイトルはアーティスト・鈴木康広さんの代表作《空気の人》。
この作品の楽しみ方をBunkamura ザ・ミュージアム担当スタッフがご紹介!
《空気の人》
空に浮かぶのは大きな風船?人のかたちをしていますね。《空気の人》という名前の作品です。おなかから空気を吸い込み続けている、大きな《空気の人》。
一体、どうやって膨らませているのでしょう。この写真だと浮いているようにも見えますね。
実はその体いっぱいにみなぎる空気は、そこに居合わせた人々が呼吸する空気でもあるのです。さっき自分の体を巡った空気がやがて《空気の人》の体の中に入り、また出ていって…と常に循環し続けている作品。
たくさんの人が集まることで一つの作品を形成していくプロセスに、その場にいるみんなで立ち会う感覚。それはなかなか普段の生活の中では体験できない事かもしれません。
《空気の人》には大きかったり小さかったりと様々な大きさがあります。
空に浮かんでいたり、芝生に寝転んでいたりと、ポーズもいろいろ。
二子玉川の会場ではどのようなポーズの《空気の人》に出会えるのか、予想してみてください。そしてぜひ本物の作品に会いにきてくださいね。
《足元の展望台》
鈴木康広 《足元の展望台》 2014年 photo:Seiji Toyonaga
写真のタイトルは《足元の展望台》。本展のチラシビジュアルにもなっています。
この作品の楽しみ方をBunkamura ザ・ミュージアム担当スタッフがご紹介!
《足元の展望台》
『展望台』ときくと、高い場所にあって、遠くを見渡せる場所。というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
アーティスト・鈴木康広の作品《足元の展望台》は、ちょっと変わった展望台なんです。
視野を広げることは大事なことですが、もしかしたら、大人になるにつれ身近にある面白い事を多く見逃しているのかもしれません。この作品はそんな身近にある風景が、ちょっとだけ違う視点で見える作品。
この大きな足の台に上がれば、子どもは少し背伸びした大人の視点に、大人は自分の足元が今よりもっと近くに見えた幼少期の感覚がよみがえります。たった一段上がるだけで、見慣れた場所の風景も違って見えてきます。
まるで自分の足で地球を踏みしめているような気持ちになる、ひとあじ違う展望台です。
皆さんも一呼吸して、身近な風景に目を向けてみると気付かなかった「発見」に出会えるかもしれません!
《地球展開儀》
鈴木康広 《地球展開儀》 (部分) 2011年
鈴木康広 《地球展開儀》 2011年 photo courtesy: The Japan Foundation
写真のタイトルは《地球展開儀》。
この作品の楽しみ方をBunkamura ザ・ミュージアム担当スタッフがご紹介!
《地球展開儀》
地球儀にファスナー?
地球の模型である地球儀をくるくると回転させて、ぴたっと止めて指さした場所に旅行に行きたい。なんて話をしたことはありませんか。日本の裏側は本当にブラジルなのかとか、地球儀で調べたことがある人があるかもしれません。《地球展開儀》は、そんな地球儀にファスナーがついています。
この作品は、地球を「ひらく」イメージを地球儀にした作品です。
ずっと見ていると、ファスナーが船に見えてきませんか?ファスナーはぐるりと地球をめぐりながら、北極を目指しているのか、はたまた未来を切り開こうとしているのでしょうか。空想は尽きません。本作はアーティスト・鈴木康広の代表作《ファスナーの船》から展開された作品のひとつです。《ファスナーの船》は海を進む船と航跡が、まるでファスナーのように見えたそう。
まるで新しい世界を切り開けそうな、ワクワクとした気持ちになる、好奇心の扉をひらく作品です。
《りんごの天体観測》
鈴木康広 《りんごの天体観測》 2006年、2021年 撮影:Jeni Katzner
写真のタイトルは《りんごの天体観測》。
この作品の楽しみ方をBunkamura ザ・ミュージアム担当スタッフがご紹介!
《りんごの天体観測》
これは光るりんご?ぷつぷつと穴があいているようです。
りんごの表面にある斑点をじっと見つめていると、なんだか満天の星空のようにも見えてきませんか?
これはアーティスト・鈴木康広による「見立て」から生まれた作品。
りんごの模型に穴を開け、内側から灯りをともすと、上からかぶせたドームに光が星のように浮かび上がります。
小さなプラネタリウムを外側から眺めているような、不思議な感覚を体験できる作品です。
もしかすると、りんごの中にあなただけの星のかたちを発見できるかも!?
今年の夏休みはぜひ、二子玉川でちょっと変わったプラネタリウムを観にきませんか?
*「見立て」=あるものを見て他の何かを連想し、新たな視点で捉えなおすこと。
いかがでしたでしょうか?会場で皆さんのご来場をお待ちしています。
今夏、二子玉川ライズ スタジオ & ホールで開催する「鈴木康広展 ただ今、発見しています。」どうぞお楽しみに!
《開催概要》
「鈴木康広展 ただ今、発見しています。」
会期:2024/7/20(土)-9/1(日)※休館日なし
会場:二子玉川ライズ スタジオ & ホール