イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき

Information章解説

Historyイッタラ140年の歴史

19世紀末にフィンランドのイッタラ村にあるガラス工場から出発したイッタラ。その歴史は、伝統の職人技を継承しつつ、絶えず新しい表現を追求していくものでした。そこには技術と表現の対話があり、ガラスという素材で表現を行う職人とデザイナーの真摯な向き合いがありました。
またイッタラの歴史は、さまざまな工場やメーカー企業の合併や統合の歴史でもあります。得意分野の違うガラス工場が合併したり、ガラスのみならず陶磁器やより広いインテリア·プロダクトの製造を行う企業と統合しながら、イッタラのデザインは技術、素材、コンセプトの点でつねに可能性を広げてきました。 ここでは2021年に創立140周年を迎えたイッタラの歩みを俯瞰します。

Designersイッタラのデザイナーたち

イッタラでは、フィンランドを代表する多くのデザイナーが活躍してきました。そのあり方はさまざまで、アルヴァ・アアルトのような建築家や、ティモ・サルパネヴァのようなグラフィックデザイナー出身の者もいます。短い期間に足跡を残したアルヴァ・アアルトもいれば、亡くなるまでイッタラに留まって活躍したタピオ・ヴィルカラもいました。
デザイナーの思い描くイメージは、ガラス職人らがかたちにしていきます。イッタラはデザイナーたちに創作の機会を提供することで、フィンランド・デザインを育むプラットフォームとなってきました。第2章では、イッタラの代表的なプロダクトを送り出したデザイナーを8名紹介します。

Philosophyイッタラの哲学

イッタラの芸術を考えるとき、さまざまな視点からその魅力と本質に迫ることができます。ガラスの特性や実際の製法、技術といった物質的な視点、作品を生みだす美学や芸術としての視点、デザイナーによる表現といった芸術的な視点。また政治との関係や、企業哲学など社会的な視点からも、イッタラを眺めることができるでしょう。
ここでは専門家による研究成果をもとに、フィンランド・デザイン・ミュージアムが提案する13 の視点からイッタラの芸術を読み解くことを試みます。

13の視点

素材としてのガラス/職人の技/型でつくる/マジック・リアリズム 自然と精霊との対話/気候と文化/陶磁器とガラス/アーキタイプ 基本のかたち/カラー/戦後フィンランドの外交とデザイン/広告イメージ 世界観を伝える/ミメーシス 自然の模倣/連ねる、重ねる/リサイクルとサステイナビリティー

Iittala and Japanイッタラと日本

イッタラと日本の関係は古く、1950~60年代にさかのぼることができます。この時期、カイ・フランクは度々来日し、日本の工芸やデザインに触発された作品を残しました。日本のフィランド・デザインへの関心も高く、イッタラ製品も含む大規模な展覧会が東京で開かれました。
21世紀に入ってからは、イッタラは国際的なコラボレーションを積極的に進めています。日本のブランドであるイッセイ ミヤケとミナ ペルホネン、建築家の隈研吾と行われた仕事を通して、イッタラと日本の新たな交流をご紹介します。

背景画像:タピオ・ヴィルカラの《ウルティマ ツーレ》の広告イメージ(部分)、2017年 ©Iittala, Photo: Anton Sucksdorff