写真家ドアノー/音楽/パリ

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2021.02.15 UP

会場で展示している楽器のご紹介:クラリネット編

5章スタジオでは、ドアノーがルノー在籍時に請け負った仕事のひとつ、ビュッフェ・クランポン工房のルポルタージュの写真が9点展示されています。1938年、ドアノー26歳の時の仕事です。


ロベール・ドアノー《熟練の工員たちによる組立》マント 1938年

 

本展開催にあたり、ビュッフェ・クランポン社のご協力で、ドアノーが撮影した当時のクラリネットの展示が実現しました。本展示のためにフランスの本社から空輸いただいた、大変貴重な楽器です。

 

クラリネット
製造年:1935年
製造:ビュッフェ・クランポン社(フランス)
所蔵:ビュッフェ・クランポン フランス本社
現在のクラリネットは17~19キーですが、展示されている楽器は13キー。かなりシンプルなつくりであることがわかります。

 

ビュッフェ・クランポンは1825年に創設された木管楽器専門ブランド。クラリネットのほかに、フレンチバソン、オーボエ、サクソフォーンなども制作しています。

 

クラリネットの管体はマメ科の「グレナディラ」という木材を使用しています。今回の展示楽器が作られていた時代、ビュッフェ・クランポン社はグレナディラをタンザニアとモザンビークから皮付きの丸太のままで直接輸入し、工場の屋根裏で原木を7年間以上寝かせて自然乾燥させていたそうで、時には、原木の間からサソリが顔を出すこともあったようです(※製造技術の向上に伴い、現在はこのような自然乾燥の工程はありません)。

 

シェフと呼ばれる親方と熟練した工員が、一本の楽器を最後まで一人で組み立てて、完成させたクラリネット。100年近い時を経て、ドアノーの写真と一緒に展示されているところを見ると、なんだか感慨深いですね。

 

 

ビュッフェ・クランポン社のHPはこちら
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