ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまでベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで

Interviews
インタビュー

特別展示室をはじめ、本展に作品を出展している現代美術作家のフィリップ・ハース氏にインタビューを行いました。


Q.なぜアルチンボルドの絵画を立体化しようと思ったのですか?
基本的に私の作品は、美術の歴史との対話ですから、私は自分の作品を古典芸術的伝統の流れの中に位置づけています。アルチンボルドによる奇妙で美しい寄せ絵作品は彫刻化するのにうってつけでした。なぜなら鑑賞者は立体作品の周りを巡ることができ、特に大きな彫刻――今回の出品作品はそのためのモデルですが――の場合、立ち位置や光、天気などの要素により、同じ姿を2度と目にすることができません。「四季」は文字通りうつろう作品なのです。
Q.今回出品される作品の中で一番のお気に入りはどの作品ですか?
私が満足しているのは《コロッサス:巨像(模型)》です。これはまだ実現していない25メートルにもなる作品の模型なのですが、鑑賞者にはこの25倍の大きさを想像してもらいたいですね。私はさまざまな素材を組み合わせるのが好きなので、この作品にもファイバーグラスを使っていますが、より大きな完成作では、本物の水や木、葉などによって文字通り「生きた」作品になると思います。
Q.ルドルフ2世は芸術作品や工芸品、生きた動物までコレクションしていましたが、ハースさんには何かコレクションをしていたり、コレクションしたいと思ったりしている対象はありますか?
私の作品は美術の歴史との対話なので、いつも芸術作品、つまり視覚芸術文化に関わるイメージを集めています。それ以外だと、産業機械も好きですね。クレーンやフォークリフト、エンジンなどですが、それらが古くなったり壊れたりしたものにも興味があるので、作品の素材にしてみたいと思っています。こうした芸術への態度はルドルフ2世とある部分で共通点があるかもしれません。
Q.作品を制作する際にはどのような点に注意していますか?
私は自分の作品が臨場感を持ち、芸術の知識を持たない人をも惹きつけ、受けいれられる作品になるようにしています。アルチンボルドを基にした今回の出品作品は、ルネサンス美術を学んだ人だけでなく、子どもでも楽しむことができます。私にとって重要なのは、鑑賞者と作品が直接対峙すること、そして鑑賞者が何かしらの印象を持ち帰るということなのです。
Q.来場者へのメッセージをお願いします。
先ほどの質問でも言いましたが、来場者の方々に作品の印象を持ち帰ってもらうことを期待しています。芸術の力があなた方を惹きつけるでしょう。芸術というものは過去と関係しているということを、私のアルチンボルドを基にした作品から理解してもらえると思います。これは洞窟壁画から2017-2018年に制作される作品まで連綿と続いていることなのです。

ペーテル・グルンデル《卓上天文時計》1576-1600年、真鍮、鋼、スコークロステル城、スウェーデン Skokloster Castle, Sweden