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シャヴァンヌ展 水辺のアルカディア ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの神話世界

2014/1/2(木)-3/9(日)

Bunkamuraザ・ミュージアム

名画を読み解く

名画を読み解く 《諸芸術とミューズたちの集う聖なる森》

この作品はリヨン美術館の壁画(1884年)の作家本人による再制作(縮小版)であるが、壁画では両端の約5分の1ずつが折れたコの字型なのに比べ、本作では全体が一面で俯瞰できる。

場面は深い山の中の水辺のアルカディア=架空の桃源郷の夕暮れ時。イオニア式のギリシア建築の前には、建築、彫刻、絵画という造形芸術の3分野の化身として描かれた女性がいて、9人の女神ミューズがその周りに集っている。ミューズ(ムーサとも)は芸術家に創造の霊感を与える9人の女神であり、博物館・美術館を表す英語ミュージアムの語源となっており、美術館の壁を飾るにふさわしいモチーフである。

  • A 建築の化身:柱の断片に腰掛ける。
  • B 彫刻の化身:たたずむ。
  • C 絵画の化身:シャヴァンヌが直接かかわる分野。広げた衣=布はリヨンの名産品。
  • X 子どもが広げた衣に花を捧げ、賛美している。
  • YZ 2人の大地の精霊が
  • 1 英雄賛歌を司る女神ポリュヒュムニア:手を上げてその雄弁で諸芸術を魅了する。
  • 2 歴史を司る女神クレイオ:手に持つ書板に偏見のない歴史を書き記す。
  • 3 叙事詩を司る女神カリオペ:座って叙事詩をひも解く。リヨン美術館の壁画では、ウェルギリウス作『アエネイス』の冒頭の文―私は戦いと英雄を歌う が記されている。
  • 4 喜劇を司る女神タレイア:何かの音に気付いて立ち止まる。
  • 5 舞踊を司る女神テルプシコラ:音の調べに気付き踊りのステップをとめる。
  • 6 抒情詩と歌を司る女神エウテルペ:歌声を響かせながら空を飛ぶ。
  • 7 恋歌を司る女神エラト:竪琴を奏でて歌いながら空を飛ぶ。
  • 8 天文を司る女神ウラニア:水辺に横たわり、夕日で金色に輝く水面を見つめる。
  • 9 悲劇を司る女神メルポメネ:柳の下に座り、劇の場面を思い出している。

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《諸芸術とミューズたちの集う聖なる森》 1884-89年頃 油彩・カンヴァス シカゴ美術館蔵93.0×231.0cm
Potter Palmer Collection 1922.445 Photography ©The Arc Institute of Chicago